米中間のハイレベル会合相次ぐ、第3回金融WG、農業協力合同委員会、商務長官による電話会談を実施

(米国、中国)

ニューヨーク発

2024年01月23日

米国財務省は1月19日、中国との金融ワーキンググループ(FWG)を1月18~19日に開催したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3回目となる今回は初めて中国の北京で開催され、米財務省と中国人民銀行の高官が主導した。両国はFWGの立ち上げを2023年9月に発表していた(2023年9月25日記事参照)。

FWGではまず、12月と1月に両国間で行われた気候変動ストレステスト(注1)とグローバルシステム上重要な銀行(G-SIBs、注2)に対する意見交換を行った。また、金融の安定と資本市場の課題、国際金融機関、持続可能な金融、越境決済とデータ、反マネーロンダリングとテロ資金供与対策などを議論した。米国側は会議中に、両国間で意見が一致しない分野について率直に指摘したという。FWGは、両国が今後も定期的に会合を開くことに合意して終了した。

財務省の発表によると、米国の代表団は北京滞在中に中国の何立峰副首相と会談し、ジャネット・イエレン財務長官がFWGの進展を歓迎していることや、両国の意思疎通と協力を引き続き深めていくことの重要性について議論したことを伝えた。併せて、イエレン財務長官が適切な時期に再び中国を訪問する意向があることも伝えた。イエレン長官は2023年7月に訪中しており(2023年7月10日記事参照)、12月に行った講演会で、再度訪中する計画があると明らかにしていた(2023年12月18日記事参照)。

米中間のハイレベルな交流は、他省庁間でも行われている。米農務省は1月18日、トム・ビルサック長官が農業農村部の唐仁健部長と米国の首都ワシントンで会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。ビルサック長官は「未解決の市場アクセス問題やその他の米国農業関係者の懸念事項への対応に加え、気候や食料安全保障の課題に対する取り組みについても議論した」と述べた。米中両国は農業の2国間交流と協力を調整する場として、2003年に農業協力合同委員会を設立した。同委員会の会合は2015年以降行われておらず、今回の会合は9年ぶりの開催となった。

商務省も中国との2国間協議を行っている。ジーナ・レモンド長官は1月10日に、商務部の王文涛部長と電話会談した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。商務省は経済・貿易分野に関する商業問題ワーキンググループの設置で合意しており(2023年8月30日記事参照)、電話会談で両閣僚はワーキンググループ活用の重要性を強調した。レモンド長官はまた、安全保障に関わる分野では交渉の余地はないとしながらも、米政府の「小さな庭、高いフェンス(small yard, high fence)」というアプローチは、中国の経済発展を封じ込めるためのものではないと伝えた。

安全保障については、商務省のドン・グレイブス副長官が1月9日に行った講演で「商務省全体の国家安全保障戦略を数週間以内に発表する」と述べている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同省全体に通じる安全保障戦略は初めてとなる見込みだ(通商専門誌「インサイドUSトレード」1月10日)。グレイブス副長官は講演で「商務省は安全保障の確保にこれまで以上に大きな役割を果たしている」と述べており、また、商務省産業安全保障局(BIS)が1月に発表した実績報告では、「今ほど輸出管理が集団安全保障の中心だった時代はない」と記している(2024年1月18日記事参照)。

(注1)気候変動に起因する負荷が金融システムにかかると想定し、安全性や耐久性などを維持できるかどうかを調べる手法。

(注2)金融安定理事会(FSB)が指定する金融システムの安定に欠かせない銀行。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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