米財務省、中国と経済・金融に関するワーキンググループを設置

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年09月25日

米国財務省は9月22日、中国との間に経済と金融に関する2つのワーキンググループを立ち上げたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国のジャネット・イエレン財務長官と中国の何立峰副首相の指揮の下、経済に関するワーキンググループは米国財務省と中国財政部が、金融に関するワーキンググループは米国財務省と中国人民銀行(中央銀行)がそれぞれ主導する。

財務省は、両ワーキンググループの設置はイエレン長官が7月の訪中時に何副首相と合意した事項に基づくとしている(2023年7月10日記事参照)。また、2022年11月の米中首脳会談後に、ジョー・バイデン大統領が両国間の意思疎通を深めるよう指示したことを実行するものだと説明している。同省は、ワーキンググループが経済・金融政策に関する率直かつ実質的な議論や、マクロ経済・金融情勢に関する情報交換のための継続的で構造化されたチャンネルを提供するとの見通しを示した。具体的には、経済分野では低・中所得国の債務問題など、金融分野では金融の安定性や持続可能な金融などが議題になる予定だ(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版9月22日)。同省の発表によると、両ワーキンググループは次官級の会合を定期的に行う予定だが、頻度については明示されていない。

イエレン長官はX(旧ツイッター)で、ワーキンググループの設置に関し「2国間関係における重要な前進だ」と指摘した。また、ワーキンググループは「米国の関心と懸念を伝え、米国の労働者と企業にとって公平な競争条件を備えた米中間の健全な経済競争を促進し、世界的な課題に関する協力を推進するための重要なフォーラムとして機能する」との期待を示した。

米中間では、経済分野で協議体の設置が続いている。米国のジーナ・レモンド商務長官による8月の訪中では、商業問題ワーキンググループや輸出管理に関する情報交換の枠組みの設置で合意した(2023年8月30日記事参照)。ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が9月16~17日に中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)とマルタで会談した際には、戦略的な対話ラインを維持するとともに、今後数カ月で重要な課題に関するさらなる協議を高官レベルで行うことで合意している(2023年9月20日記事参照)。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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