米NY州ホークル知事、総額100億ドルの新たな半導体研究開発施設の建設計画を発表

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年12月13日

米国ニューヨーク(NY)州のキャシー・ホークル知事(民主党)は1211日、半導体関連企業と連携し、総額100億ドルを投資して、州都オールバニーにある半導体研究施設のナノテク・コンプレックスに、新たな研究開発施設を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NY州が10億ドル、マイクロンや東京エレクトロンなど、NY州と連携する半導体関連企業が少なくとも90億ドルを投資する。本プロジェクトにより、700人以上の新規直接雇用を見込む。

建設されるのは、最先端の高NA極端紫外線露光(High NA EUV Lithography)センターで、オランダの半導体製造用露光装置大手ASMLの装置が導入される。NY州の発表によると、北米で初めてかつ唯一の公営施設となり、本プロジェクトに協力しているマイクロン、東京エレクトロン、IBM、アプライド・マテリアルズなどが利用できる。同センターに加えて、5万平方フィート(4,645平方メートル)以上のクリーンルームも建設される。

また本プロジェクトは、NY州の2つのハブを、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき設立されたテックハブ(Tech Hubs)プログラム(2023年10月24日記事参照)の助成対象となるよう、後押しすることも期待されている。NY州では、テックハブプログラムにおいて、半導体製造関連の「NYスマートIコリドーテックハブ(NY SMART I-Corridor Tech Hub)」と「新エネルギーNYバッテリーテックハブ(New Energy New York Battery Tech Hub)」の2つが、第1段階の審査を通過している(2023年10月27日記事参照)。

ホークル知事は、今回の投資計画発表に際し、米国内で半導体の生産強化が安全保障上重要であることに触れた上で、「ここがすべて稼働すれば、世界中の企業がこの地域に集まってくるだろう」と、経済面での期待も寄せた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。また、東京エレクトロンの河合利樹代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は「当社は、この新たな開発が世界の半導体産業の発展とこの分野における技術革新に拍車をかけることを期待している」と述べた。

20228月のCHIPSプラス法成立以降、米国内での半導体関連の投資が相次いでいる。NY州では、202210月にマイクロン(2022年10月6日記事参照)とIBM2022年10月11日記事参照)が、20237月にメンロー・マイクロシステムズ(2023年7月13日記事参照)がそれぞれ投資を発表しており、今回の発表によって、NY州への投資が一層活発になるか注目される。

(赤平大寿)

(米国、日本)

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