米IBM、NY州で200億ドルの半導体関連投資を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月11日

米国のIBMは10月6日、今後10年にわたりニューヨーク(NY)州のハドソン川流域で200億ドルの半導体関連投資を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社によると、今回の計画はNY州との協力の下で、対象地域において半導体、コンピュータ、ハイブリッドクラウド、人工知能(AI)、量子コンピュータの技術に関するエコシステムを拡大するのが狙いとなる。中でも、2021年に発表した世界初となる2ナノメートルの半導体技術を扱う、州都オールバニーでの官民研究施設の拡大は、2022年8月に成立したCHIPSおよび科学法(以下、CHIPSプラス法、2022年8月26日記事参照)によって立ち上げられる国家半導体技術センター(NSTC)の基盤になるとしている。

同社ポキプシー施設での投資計画発表の場において、IBMのアービンド・クリシュナ会長兼最高経営責任者(CEO)は「本日、大統領に見せたIBMのイノベーションは、世界のビジネス、産業、社会の未来にとって不可欠なものであり、CHIPSプラス法から大きな恩恵を受ける。同法は次世代半導体の信頼性ある安全な供給を確実なものとし、量子コンピューティングの科学とビジネスの前進を助ける」と述べている。

今回の投資計画発表の場に訪れたジョー・バイデン大統領は、同社に向けた演説の中で、今回の投資のほかにマイクロンテクノロジーのNY州おける1,000億ドル規模の新工場建設や(2022年10月6日記事参照)、インテルのオハイオ州における200億ドル規模の新工場建設(2022年9月14日記事参照)を例に挙げて、CHIPSプラス法の成果を強調した。また、中国との技術競争にも触れ、同法の受益者が、米国のサプライチェーンと安全保障を損なう対中投資を行わないようガードレール条項(注)を設けている点も強調した。なお、バイデン政権は10月7日に、中国を念頭に置いて最先端の半導体技術の輸出管理を強化する規則を発表しており、半導体分野で中国に覇権を譲らない姿勢を鮮明にしている(2022年10月11日記事参照)。

(注)CHIPSプラス法において、米国内で半導体への新規投資を行う企業が財政支援や税額控除の恩典が享受できる一方、恩典を享受した企業は、中国や懸念国での新規投資が禁止される条項。

(磯部真一)

(米国)

ビジネス短信 cb5943a2b3f87762