米NY州の半導体・バッテリーのエコシステム、バイデン政権のテックハブに選定

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月27日

米国のバイデン政権が10月23日に発表した国内31カ所のテックハブ(2023年10月24日記事参照)に、ニューヨーク(NY)州の半導体製造関連の「NYスマートIコリドーテックハブ(NY SMART I-Corridor Tech Hub)」と「新エネルギーNYバッテリーテックハブ(New Energy New York Battery Tech Hub)」の2つが選定された。2段階から成るテックハブプログラム審査の1段階目を通過したことを意味する。これにより、同テックハブは、関係省庁が提供する各種支援への優先アクセスや、同プログラム審査の2段階目への応募が可能になった。2段階の審査を経て最終的に指定される5~10カ所のハブには、それぞれ5,000万~7,500万ドルの資金が援助される。

半導体製造に関する「NYスマートIコリドーテックハブ」は、NY州中央地域の経済開発公社の「経済機会のためのセンターステート公社」が主体となり、バッファロー、ロチェスター、シラキュース、イサカ、オーバーン、バタビアをカバーする州内の地域で、産学官連携による半導体製造能力の増進を図ることが目的となる。NY州には州都オールバニーに存在する研究開発施設NYクリエーツをはじめ、以前から半導体関連のエコシステムが充実していた。最近では「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」と州独自の投資優遇策「グリーンCHIPSプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の影響もあり、IBMやマイクロンといった半導体関連企業が長期にわたる大型投資を発表するなど、さらなるサプライチェーン強化が見込まれている。特にマイクロンはシラキュース近辺に今後10年で最大1,000億ドルを投じて、先端DRAMメモリーの製造能力を増強するとしている(2022年10月6日記事参照)。CHIPSプラス法成立の中心的存在だった同州選出のチャック・シューマー上院院内総務(民主党)は「バッファロー、ロチェスター、シラキュースは公式に米国の半導体産業のスーパーハイウエーとなりつつある」と今回の指定を歓迎している。

もう1つの「新エネルギーNYバッテリーテックハブ」はNY州立大学(SUNY)研究基金が主体となり、州のアップステート(注)南部の14郡で構成される地域にバッテリーの開発・製造のハブを形成することが狙いとなる。特に中心となると目されているのが、リチウムイオン電池技術の研究で有名なビンガムトン大学のあるビンガムトンだ。同地近郊にはリチウムイオン電池メーカーのiM3NYが2022年からギガファクトリーを稼働させており、今後数年内には生産量を年間38ギガワット時(GWh)まで増やすことを目標にしている。これら2つのハブが今後、第2段階の審査を通過できるか注目だ。

(注)NY市とロングアイランドを除くNY州地域。

(磯部真一)

(米国)

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