米中高官が相次いで対面会談、責任ある両国関係の管理を確認

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年09月20日

米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は9月16~17日、中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)とマルタで会談を行った。ホワイトハウス発表の会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回の会談は両国首脳が2022年11月にインドネシアで行われた会談で合意した趣旨に基づくもので、開かれた対話ラインを維持し、責任あるかたちで両国関係を管理する取り組みの一環で行われた。

また、両国は2023年5月以降、閣僚レベルの対面会談を重ねており、今回の会談はそれらを踏まえたものでもあったとしている(注)。両者は、米中2国間の主要な課題に加えて国際的および地域的な安全保障問題、ロシアによるウクライナに対する戦争、台湾海峡問題などについて協議した。これら議題のうち、サリバン氏からは台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したとしている。両者は引き続き、この戦略的な対話ラインを維持するとともに、今後数カ月で重要な課題に関するさらなる協議を高官レベルで行うことで合意したとしている。

これに続く9月18日には、アントニー・ブリンケン国務長官が米国ニューヨークで行われている国連総会に参加している中国の韓正・国家副主席と会談を行った。国務省発表の会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの内容はほとんど、ホワイトハウスによるサリバン・王両氏の会談要旨と同様となっている。9月19日の国連総会一般討論で演説を行ったジョー・バイデン大統領も、中国との競争関係が衝突に発展しないよう責任あるかたちで管理し、デカップリングではなくデリスキングを志向していく点を強調した。中国の習近平国家主席はインドで開催されたG20サミットに続き国連総会も欠席したが、11月に米国サンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議に参加し、バイデン大統領との1年ぶりの対面会談が実現するか注目される。

(注)5月には、サリバン・王両氏がオーストリアで会談したほか、中国の王文濤商務部長(商務相)が訪米した際にジーナ・レモンド商務長官、キャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表とそれぞれ会談を行っている(2023年5月29日記事5月30日記事参照)。6~8月にかけては、ブリンケン国務長官(2023年6月21日記事6月21日記事参照)、ジャネット・イエレン財務長官(2023年7月10日記事7月10日記事参照)、レモンド商務長官(2023年8月30日記事9月1日記事参照)が訪中し、中国のカウンターパートと会談を行った。ブリンケン国務長官は7月にも王政治局員とインドネシアで会談している(2023年7月18日記事参照)。直近では、バイデン大統領が9月に、インドで開催されたG20サミットの機会に中国の李強首相と対談している(2023年9月12日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国)

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