中国の王文濤・商務部長、レモンド米商務長官らと相次いで会談

(中国、米国、日本、韓国)

北京発

2023年05月30日

中国商務部の王文濤部長は5月25~26日、米国商務省のジーナ・レモンド長官、米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表とそれぞれ会談を行った(米国側の反応は2023年5月29日記事参照)。ミシガン州デトロイトで同時期に開催されたAPEC貿易担当相会合への参加に合わせたもの。

レモンド長官とは25日に首都ワシントンで会談した。商務部の発表によると、両国の経済・貿易関係や、共通の関心事の経済・貿易問題について、率直で専門的かつ建設的な意見交換を行った。中国は、米国の対中経済・貿易政策、半導体政策、輸出管理、外資審査などに懸念を表明した。また、双方は特定の経済・貿易上の懸案や協力事項に関する交流を維持・強化するため、コミュニケーションチャンネルを確立することに合意したとされる。

タイ代表とは26日にデトロイトで会談した。商務部の発表では、双方は両国の経済・貿易関係、共通の関心事である地域的・多国間問題について、率直で実務的かつ深い意見交換を行った中国は、米国の対中経済・通商政策、台湾にかかわる経済・貿易問題、インド太平洋経済枠組み(IPEF)、関税301条などの主要問題について懸念を表明した。その上で、双方はコミュニケーションを維持し続けることに同意したとしている。

現地報道では、レモンド長官との会談について、バイデン米政権発足後初となる経済分野の閣僚級会談と評価し、両国関係を正常な軌道に戻そうとするものだとの見方がある(「環球時報」5月29日)。

同時に、経済・貿易は両国関係の安定装置だが、外交・政治に大きく影響されるとし、貿易関連企業は不測の事態に備え、輸出比率や輸出先の調整などを行うべきという見方も紹介されている(「上観新聞」5月26日)。

なお、王部長は26日に西村康稔経済産業相、韓国の安徳根(アン・ドックン)産業通商資源部通商交渉本部長とも会談を行った。

西村大臣との会談で王部長は、日本の半導体輸出管理措置に抗議した。また、5月19~21日に開催されたG7広島サミットの共同声明は中国への内政干渉だとし、日本が中国に対する認識を改め、建設的な姿勢で両国の経済・貿易関係の安定的な発展を推進することを望むとした。

安本部長との会談では、双方は半導体産業のサプライチェーンに関する対話・協力の強化に同意したとされている。

(河野円洋)

(中国、米国、日本、韓国)

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