パートナー国との関係深める米国、ジェトロの米中月例レポート(2023年6月)

(米国、中国、英国、サウジアラビア、インド)

調査部米州課

2023年07月26日

ジェトロは719日、米国の対中国関連政策についてまとめた2023年6月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、20217月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

6月の米中関係では、アントニー・ブリンケン国務長官による61819日の訪中が特筆すべき点として挙げられる。国務長官の訪中は、トランプ政権下だった2018年以来初となる。ブリンケン国務長官は習近平国家主席や、王毅・共産党中央政治局員、秦剛・国務委員兼外交部長(当時)などと面談を行った(2023年6月21日記事参照)。

また、バイデン政権は同盟国やパートナー国とのさらなる関係深化に努めた。ブリンケン国務長官は668日にサウジアラビアを訪問し、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(首相)などと会談したほか、戦略的パートナーシップに関する湾岸協力会議(GCC)・米国合同閣僚会議に参加した(2023年6月14日記事参照)。サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相は、中国は同国にとって最大の貿易相手国と述べたものの、米国とは「安全保障や軍事分野で強固なパートナーシップを築いている」としている。また、バイデン大統領は68日、英国のリシ・スナク首相と首脳会談を行い、経済安全保障での協力を含む新たなパートナーシップの「21世紀の米英経済パートナーシップのための大西洋宣言」を発表した(2023年6月9日記事参照)。バイデン大統領は622日には、国賓として公式訪問したインドのナレンドラ・モディ首相と首都ワシントンで首脳会談を行った。会談では「未来のための技術的パートナーシップ」を筆頭に、先端技術の協力や人的交流を促進していくことを発表した(2023年6月23日記事参照)。

発効から1年が経過したウイグル強制労働防止法(UFLPA)については、69日に同法のエンティティー・リスト(EL、注)に10事業体を追加すると発表した。これにより、同法の輸入禁止対象リストに載った事業体は22になった。UFLPAELが更新されたのは同法の施行後、初めて(2023年6月12日記事参照)。また、71日から中国で「改正反スパイ法」が施行されることを受け、国務省は630日に中国への渡航に関する勧告を更新し、レベル3「渡航要再検討」とした(2023年7月3日記事参照)。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(注)UFLPAでは、新疆ウイグル自治区で生産した物品だけでなく、同自治区で強制労働により物品を生産しているなどとして、米国政府の強制労働執行タスクフォース(FLETF)が特定した事業者が生産した製品も輸入禁止対象となる。それら事業者はUFLPAエンティティー・リストに掲載され、DHSのウェブサイトで公開されている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(谷本皓哉)

(米国、中国、英国、サウジアラビア、インド)

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