米政府、UFLPAに基づく輸入禁止対象の事業者リスト拡大

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年06月12日

米国国土安全保障省(DHS)は6月9日、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく輸入禁止対象の事業者リスト「UFLPAエンティティー・リスト」の更新を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。正式には6月12日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますする。UFLPAが施行されて以降、同リストが更新されるのは初めて。

UFLPAでは、新疆ウイグル自治区で生産した物品だけでなく、同自治区で強制労働により物品を生産しているなどとして、米国政府の強制労働執行タスクフォース(FLETF)が特定した事業者が生産した製品も輸入禁止対象となる(2022年8月5日付地域・分析レポート参照)。それら事業者はUFLPAエンティティー・リストに掲載され、DHSのウェブサイトで公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている(2022年8月4日記事参照)。

DHSは今回、化学製品を製造する新疆中泰化学(Xinjiang Zhongtai Chemical)とプリンター製造の納思達(Ninestar)、その子会社8社をリストに追加した。追加の理由として、DHSはこれら企業が新疆ウイグル自治区政府と協力して、強制労働者らを募集、輸送、移送、収容、または受け入れていると説明している。これら企業が生産した製品は6月12日以降、米国への輸入を原則禁止する。今回の更新により、リスト掲載事業者は22となった。いずれも中国の事業者だ。

FLETF議長を務めるDHSのロバート・シルバース次官はプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「強制労働は今や法令順守の最重要課題で、企業は自社のサプライチェーンを把握しなければならない」と指摘した。同次官はブルームバーグ(6月9日)の取材に対し、今後さらに多くの企業がリストに追加される見込みと明らかにした。

リスト拡大については、連邦議会もかねて要請しており、中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC、注)の議長を務めるクリストファー・スミス下院議員(共和党、ニュージャージー州)とジェフ・マークリー上院議員(民主党、オレゴン州)はリストへの事業者の追加を評価する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。ただし、自動車部品や衣服などの強制労働によって生産された製品が米国市場に流入し続けているとして、UFLPAの執行強化に向けて今後もDHSと協力すると強調した。両議員らは4月にシルバース次官に宛てた書簡で「リスト掲載事業者の数と範囲は、FLETFによるUFLPAの実施へのコミットメントを示す重要な指標」との認識を示していた(2023年4月13日記事参照)。

(注)議会上下両院の議員と、大統領が指名した政府高官で構成する委員会。中国の人権と法の支配状況を監視し、大統領と議会に年次報告書を提出する義務を負う。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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