岸田首相が中東3カ国を歴訪、脱炭素や安全保障分野での協力強化を確認

(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、日本)

調査部中東アフリカ課

2023年07月26日

岸田文雄首相は7月16日から18日にかけて、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールを訪問した。延べ100社以上の日本企業・団体から成る経済ミッションも同行した。

岸田首相は16日にサウジアラビアを訪問し、ジッダでサウジアラビア投資省が主催した「日本・サウジアラビア・ビジネス・ラウンドテーブル」に出席した(2023年7月24日記事参照)。サウジアラビア側は水素・アンモニアなど新たな分野での連携を呼びかけ、エネルギーやエンターテインメントなどの分野で、両国による26件の覚書が発表された(2023年7月20日記事参照)。

その後、岸田首相はムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相と首脳会談を行った。会談で外相級戦略対話の設立に合意したほか、水素・アンモニアの製造・利用や、グリーントランスフォーメーション推進に向けた連携強化を確認した。

同じ16日に岸田首相はジッダで、湾岸協力会議(GCC)のジャーセム・アル・ブダイウィ事務総長と会談し、「日本・GCC外相会合」の定例化と、日・GCC自由貿易協定(JGFTA)の交渉を2024年中に再開することで合意した(2023年7月21日記事参照)。

17日にはUAEを訪れ、ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領と首脳会談を行った。会談では、脱炭素や気候変動対策分野の協力で合意し、両首脳は「気候行動に関する日・UAE共同声明」を発表した(2023年7月19日記事参照)。その後、ジェトロなどが共催した「日・UAE・ビジネスフォーラム」で、両国の企業・団体間でエネルギーや先端技術、人工知能(AI)分野を含む23件の協力覚書(MOU)の交換が行われた(2023年7月20日記事参照)。

18日にはカタールで、タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と首脳会談を実施した。会談では両国の包括的パートナーシップを戦略的パートナーシップに格上げすることで一致し、エネルギー市場安定化に協力を続けることで合意した。「日本・カタール・ビジネスレセプション」も開催され、両国間の貿易投資促進の協力をはじめとする4件のMOUが紹介された(2023年7月21日記事参照)。

岸田首相は7月18日の記者会見で今回の訪問の成果として、(1)グリーントランスフォーメーション推進に向けた協力で一致、(2)各国の経済・産業多角化に向けて強いコミットメントを示したこと、(3)安全保障分野での関係強化、(4)ソフトパワーの交流強化を行ったことの4点を挙げた(7月18日付首相官邸発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(久保田夏帆)

(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、日本)

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