日・カタール首脳会談、エネルギー市場安定化へ協力継続を確認

(カタール、日本)

ドバイ発

2023年07月21日

岸田文雄首相は716日から18日にかけて、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールを訪問した。このうちカタールには18日に訪問し、同国のタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と日・カタール首脳会談を実施した(7月18日付日本外務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

会談の冒頭で両首脳は、両国の包括的パートナーシップを戦略的パートナーシップに格上げすることで一致し、防衛当局間の協議などを通じた安全保障分野での協力深化を進めることも確認した。

また、岸田首相は、日本がG7広島サミットで天然ガス・液化天然ガス(LNG)への中長期的な投資の重要性に合意を得たことを強調した上で、両国がエネルギー市場安定化のために協力を続けることで合意した。加えて、LNGがアジア地域のエネルギートランジションに重要な役割を果たすと理解した上で、その実現に向けてLNGインフラの整備や資金提供、制度設計支援を行っていることを説明した。

会談後、ドーハ市内のホテルで「日本・カタール・ビジネスレセプション」(主催:在カタール日本大使館、協力:経済産業省、ジェトロ、中東協力センター)が開催され、岸田首相やカタールのムハンマド・ビン・ハマド・ビン・カシム・アル・アブドッラー・アル・ターニー商工相を含む両国の官民関係者が出席した。レセプションでは、2024年夏期ダイヤからの日本航空による羽田~ドーハ間直行便の就航が発表され、これに伴う日本航空とカタール航空間のコードシェア拡大に関する覚書の締結が紹介された。日本の航空会社としては初めての中東地域への直行便就航となる。このほか、ジェトロとカタール投資促進局による両国間の貿易投資促進への協力に関する合意書など、計4件の両国間のMOUが紹介された。

写真 「日本・カタール・ビジネスレセプション」に登壇した岸田首相(ジェトロ撮影)

「日本・カタール・ビジネスレセプション」に登壇した岸田首相(ジェトロ撮影)

写真 「日本・カタール・ビジネスレセプション」でのムハンマド商工相(ジェトロ撮影)

「日本・カタール・ビジネスレセプション」でのムハンマド商工相(ジェトロ撮影)

英国のエネルギー研究所の報告書によると、カタールは2022年のLNG最大輸出国で、輸出量は世界シェアの21.0%(1,141億立方メートル)を占める。一方で、日本は、2021年1位の中国を抜いて、世界最大の輸入国(世界シェア18.1%、983億立方メートル)となった。カタールからは輸入量全体の約4%の39億立方メートルを輸入している(2023年7月13日記事参照)。

(太田尭久、久保田夏帆)

(カタール、日本)

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