日本と湾岸協力会議のFTAが交渉再開へ

(湾岸協力会議(GCC)、日本、中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン)

調査部中東アフリカ課

2023年07月21日

岸田文雄首相はサウジアラビア訪問中の7月16日、ジッダにおいて湾岸協力会議(GCC)のジャーセム・アル・ブダイウィ事務総長と会談した。外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、関係強化のために「日本・GCC外相会合」の定例化が決定し、あわせて、日・GCC自由貿易協定(JGFTA)の交渉を2024年中に再開することについても合意した。

JGFTAは、日本とGCCの貿易・投資を促進する法的基盤として議論されていたが、2009年以降、交渉が中断していた。近年、日本とGCC諸国との経済関係が活発化していることを踏まえて交渉を再開するとしている。岸田首相による2023年7月16~19日のサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール歴訪においても、各地で首脳会談とあわせて、ビジネスイベントを開催するなど経済交流を行っている(2023年7月20日7月20日7月21日記事参照)。

GCC加盟6カ国は、2003年に関税同盟を発効させ、域内関税撤廃および対外共通関税(5%、一部例外品目あり)を導入している。これにより、日本からの輸出品目の多くは、GCC各国の輸入関税率が5%となっている。

財務省貿易統計によると、2022年の日本とGCC加盟6カ国の輸出額合計は前年比38.9%増の2兆3,752億円で、輸入額は83.6%増の15兆2,275億円だった。推移をみると、輸出額は横ばいとなっているが、輸入額はおおむね増加傾向だ(添付資料図参照)。GCC加盟6カ国の2022年の日本との輸出入金額は次のとおり。

  • UAE:輸出1兆1,155億円、輸入6兆188億円
  • サウジアラビア:輸出6,678億円、輸入5兆5,690億円
  • クウェート:輸出2,082億円、輸入1兆3,122億円
  • カタール:輸出1,640億円、輸入1兆7,390億円
  • オマーン:輸出1,592億円、輸入4,138億円
  • バーレーン:輸出605億円、輸入1,746億円

貿易品目をみると、日本のGCCからの輸入は原油が大半を占めている。カタールからは液化天然ガス(LNG)の輸入が多い。また、日本からはGCCへの輸出は、乗用車やバス・トラックが多い。

なお、GCCは近年、域外との経済連携を推進しており、シンガポールや欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTAは既に発行済みだ。加えて、ニュージーランドとのFTAが署名済みだ。

(井澤壌士)

(湾岸協力会議(GCC)、日本、中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン)

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