マイクロエレクトロニクス分野のIPCEI国家補助、ドイツは約40億ユーロに

(ドイツ、EU)

ミュンヘン発

2023年06月20日

ドイツ連邦経済・気候保護省は68日、欧州委員会が同日に「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで承認したマイクロエレクトロニクスと通信技術に関するプロジェクト群(2023年6月14日記事参照)について、ドイツのプロジェクトの詳細を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ドイツを含む14の加盟国が共同申請しており、EUのプロジェクト総数は68、参画企業数は56社。国などからの公的な補助総額は最大81億ユーロで、137億ユーロの追加の民間投資が期待されている。うち、ドイツのプロジェクト数は31で、ドイツ16州のうち11州で実施される。公的な補助総額は約40億ユーロが予定され、民間企業の投資は100億ユーロ以上が見込まれる。公的な補助は、全体の7割を連邦(国)が負担、3割はプロジェクトが所在する州が負担する予定。

31のプロジェクトは、経済・気候保護省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。半導体産業が集積するドレスデン周辺にプロジェクトが集中しているほか、南ドイツにも多くのプロジェクトがある。経済・気候保護省によると、31のプロジェクトのうち24は、今回の欧州委の承認前に、企業がリスクを負うかたちで、プロジェクトを既に開始しているという。なお、ドイツでは半導体関連の投資が相次いでおり、ドレスデンでは、ドイツの半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが20235月、新たな半導体工場の起工式を行った(2023年5月8日記事参照)。また、米国半導体大手ウルフスピードは20232月、フランスとの国境にあるザールラント州に半導体工場を設立すると発表している(2023年2月7日記事参照)。

ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)は69日、今回の欧州委の承認について、グローバルなバリューチェーンネットワークにおける欧州の産業立地の強化につながるものと評価外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。他方、IPCEIの承認プロセスのスピードを上げなくては、世界的な競争にごしていけないとも指摘した。ZVEI20232月、半導体市場の見通しや欧州半導体法案に対する意見を発表している(2023年3月6日記事参照)。また、ドイツ自動車産業連合会(VDA)は68日、SNSを通じて、欧州委の今回の承認は欧州とドイツの企業立地の将来可能性を示す重要なシグナルと評価するコメントを発表した。VDA20231月、半導体不足と自動車産業への影響に関する調査を発表、自動車産業にとって重要な半導体への投資や生産の拡大を求めていた(2023年2月8日記事参照)。

マイクロエレクトロニクスに関するIPCEIとしては、2018年の承認に続く第2弾となる。2018年に承認を受けた第1弾のプロジェクトに参画したドイツ企業は18社(2020年10月19日記事参照)。全てのプロジェクトが2022年末までに終了、経済・気候保護省は総額約10億ユーロを補助した。民間企業の投資も26億ユーロ以上に上り、約2,400人分の新規雇用が生まれたという。第1弾の助成では、ボッシュ、インフィニオン・テクノロジーズ、グローバルファウンドリーズのドレスデンでの半導体工場の新設・拡張などが助成された。

(高塚一)

(ドイツ、EU)

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