ドイツ電気・電子工業連盟、2030年の世界の半導体市場が1兆ドルに拡大と予測

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2023年03月06日

ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)は2月28日、半導体市場の見通しや欧州半導体法案に対する意見を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ZVEIは、2030年の世界の半導体市場は2021年(5,560億ドル)の1.8倍の1兆ドルまで拡大すると予測。内訳は、データ技術向けが31.5%、通信向けが30.0%、自動車・電動車向けが17.0%、産業エレクトロニクス向けが14.0%、家電向けが7.5%。特に、自動車・電動車向けの半導体需要は2021年の690億ドルから約2.5倍の1,700億ドルまで急伸するとしている。

ZVEIによると、足元の供給状況は、半導体の種類によっては納品までに時間がかかり、需要は高いという。この傾向は今後も続くと見込まれ、中でも自動車や産業向けで顕著だとしている。2022年の世界の半導体生産額は約5,800億ドル。工場立地国・地域別に生産能力(ファウンドリーを含む)をみると、中国が21%、台湾が19%、韓国が17%、日本が16%と続いた。EUは8%にとどまった。なお、欧州で生産される半導体の約3分の1がドイツ東部ザクセン州で生産され、世界で生産されるパワー半導体の約3割がドイツで生産されているという。

欧州委員会は2021年3月、「デジタル・コンパス2030」(注)を発表し、その中で、「次世代半導体のEU域内生産の世界シェア20%以上を目指す」とした(2021年3月12日記事参照)。また、2022年2月には、EU域内での最先端半導体の研究開発、設計から生産までのエコシステムの確立を目指す欧州半導体法案などを発表している(2022年2月10日記事参照)。ZVEIは今回の発表に際して、「欧州半導体法案を優先的に成立させ、半導体産業への投資を促進することが大事」とコメントした。

また、ZVEIは欧州半導体法案について、「半導体が使われる産業のニーズに合わせるべきだ」ともしている。この点、ドイツ自動車産業連合会(VDA)も、自動車産業にとって重要な半導体への投資や生産の拡大を求めている(2023年2月8日記事参照)。ZVEIによると、全世界の半導体売上高に占める自動車・電動車向けは12%、産業エレクトロニクス向けは12.3%であるのに対し、欧州・中東・アフリカ地域の売上高に限定すると、自動車・電動車向けは37%、産業エレクトロニクス向けは26%になるという特徴があるという。

ドイツでは、インテルが2022年3月、東部ザクセン・アンハルト州マクデブルクに、半導体工場を建設すると発表した(2022年3月24日記事参照)。また、米国半導体大手ウルフスピードも2023年2月、西部ザールラント州に200ミリメートルの炭化ケイ素(SiC)半導体ウエハー工場を新設すると発表した(2023年2月7日記事参照)。ドイツ企業でも、ボッシュが新工場を開所(2021年6月15日記事参照)したほか、既存工場への追加投資を進める(2022年3月4日記事参照)。インフィニオン・テクノロジーズも2022年11月、ザクセン州ドレスデンに新たな半導体工場を設立する計画を発表している(2022年11月18日記事参照)。

(注)EUの半導体政策の概要は、ジェトロ調査レポート「EUの半導体政策と半導体法案の概要PDFファイル(558KB)」(2022年8月)参照。

(高塚一)

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