岸田首相がアフリカ4カ国を歴訪、経済協力や地域情勢に関して議論

(日本、アフリカ、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビーク)

中東アフリカ課

2023年05月08日

岸田文雄首相は4月29日から5月5日にかけて、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークの4カ国を訪問した。岸田首相はアフリカ歴訪に際し、国際的な課題に対する関係各国との連携を確認し、5月19~21日のG7広島サミットにつなげるとしていた。

4月30日、岸田首相はエジプトで同国のアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談し、「戦略的パートナーシップ」の下、2国間関係を強化することを確認した(2023年5月2日記事参照)。エルシーシ大統領は、投資家優遇措置に触れた上で、日本企業の積極的な投資を期待するとした。そのほか、両者はスーダン情勢(2023年4月17日記事参照)や中東和平などについても議論し、地域の安定化に向け連携することで一致した。

5月1日、岸田首相はガーナのナナ・アクフォ=アド大統領と会談。同首相は、トヨタ、日産、スズキに続き、ホンダがガーナに工場を設立することに触れた上で、「西アフリカ経済の要」である同国との「ビジネス関係の一層の促進を期待する」としたほか、「平和と安定なくして経済成長はありえない」とし、地域情勢安定化のため今後3年間で5億ドルの支援を発表した(2023年5月8日記事参照)。アド大統領は、ガーナが投資環境の改善に努めており、アフリカのゲートウェイとして日本企業の進出に期待するほか、経済の立て直しについても「日本の支援に期待する」とした。

5月3日、岸田首相はケニアを訪問し、同国のウィリアム・ルト大統領と会談。同首相はケニアについて、スタートアップなど日本企業の有数の進出先とした上で、今後もビジネス環境の整備や人材育成を通じて日本企業の投資を促進するほか、グリーン成長・気候変動対策や農業での協力を約束した。ルト大統領は、日本のインフラやグリーン分野でのリーダーシップを称賛し、「共通の繁栄のために関係を深め、その範囲を拡大させる」とした。

5月4日、岸田首相はモザンビークでフィリペ・ニュシ大統領と会談。同首相は、モザンビークを「有数の資源国」と評した上で、三井物産が参画するものの、治安の悪化により中断中の液化天然ガス(LNG)開発(2021年4月30日記事参照)について「日本企業の活動において安全が最も重要」とし、プロジェクト再開に向け財政支援を続けるとした。ニュシ大統領は、テロや自然災害(2023年3月23日記事参照)対策における日本の援助の重要性を強調し、今後もインフラや保健分野での協力に期待するとした。

(梶原大夢)

(日本、アフリカ、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビーク)

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