GIFTシティー、イノベ企業誘致強化のため諮問委員会を設置

(インド)

アーメダバード発

2023年04月05日

インドの国際金融サービスセンターオーソリティー(IFSCA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、グジャラート(GJ)州政府が同国初の国際金融特区として開発を進める「GIFTシティー(Gujarat International Finance Tec-City)」の「国際金融サービスセンター」(International Financial Services Centre:IFSC、2023年3月8日記事参照)に、イノベーション関連企業の誘致を進める専門の諮問委員会を設立したと発表した(IFSCAのプレス発表、3月21日)。

同委員会は、インド準備銀行(RBI)元専務理事のG.パドナバン氏が委員長を務め、大手ベンチャーキャピタルファンド、新興企業、フィンテック企業、法律事務所、税理士事務所、その他の分野の専門家の代表が委員として参加する予定だ。

IFSCAのプレス発表によると、インドのスタートアップエコシステムは115社のユニコーン企業(10億ドル企業)を生み出した世界第3位の実績を誇る。また、同国のスタートアップは2021年度に440億ドルを調達し、そのうち330億ドル以上が1件500万ドル以上の取引に使われたとしている。一方で、インドのユニコーン企業やスタートアップの多くは、市場や人材、創業者の大半がインド内に存在しているにもかかわらず、本拠地を国外に置いていることが多いため、今回の諮問委員会設立の背景には、これら在外スタートアップ企業をGIFT IFSCに呼び込みたい狙いがある。

このため、同委員会の職務権限には、国外に拠点を置くインドのフィンテックスタートアップ企業がGIFT IFSCに移転することを奨励するのに必要な措置が含まれており、GIFT IFSCをグローバルなフィンテックハブとして発展させるための課題や問題点も特定していくという。また、グローバルな展望を持つ新しいフィンテック企業がGIFT IFSCにビジネス拠点を設けることを奨励する方策やロードマップについても、今後3カ月をめどに策定することを目指している。

これまでもGIFT IFSCでは、フィンテック分野のハッカソンシリーズが開催されたり(2021年11月9日記事参照)、同分野のスタートアップ企業の支援を目的に民間銀行のイエス・バンクと覚書を締結したり(2022年9月26日記事参照)、米国IBMのソフトウエアラボを誘致したりするなど(2022年9月29日記事参照)、「国際的なフィンテックハブ」を指向した取り組みを着実に積み重ねてきている。また、中央政府が2023年2月に発表した新年度予算案でも、GIFT IFSCでのビジネス活動のさらなる活性化へ幾つかの施策を盛り込んでいる(2023年3月8日記事参照)

(古川毅彦)

(インド)

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