2023年度中央政府予算案でグジャラート州GIFTシティーでのビジネス加速

(インド)

アーメダバード発

2023年03月08日

インドのグジャラート(GJ)州政府が同国初の国際金融特区として開発を進める「国際金融サービスセンター」(International Financial Services Centre:IFSC)のGIFTシティー(Gujarat International Finance Tec-City、2022年7月11日付地域・分析レポート2022年7月20日付地域・分析レポート参照)では、ビジネス環境の改善をより一層加速するため、許認可機関の間の権限委譲や、重複規制の廃止、許認可手続きのシングルウィンドウ化、オフショア金融取引の円滑化などを促進する諸施策の導入が計画されている。ニルマラ・シタラマン財務相が2月1日に発表した「2023年度インド政府予算案スピーチ」で、特にGIFTシティー関連予算として以下のような諸施策が盛り込まれた。

GIFT IFSCでの事業活動の充実を図るため、以下の施策を実施する。

  1. 経済特区(SEZ)法に基づく権限を「国際金融サービスセンター・オーソリティー」(International Financial Services Centre Authority:IFSCA)に委譲し、規制の重複をなくす。
  2. IFSCA、経済特区当局、物品・サービス税ネットワーク(GSTN)、インド準備銀行(RBI)、インド証券取引委員会(SEBI)、インド保険規制開発局(IRDAI)のそれぞれの登録・認可のためのITシステムを構築し、シングルウィンドウ化する。
  3. 外国銀行のIFSC拠点による買収のための融資を許可する。
  4. 貿易における再融資のため、GIFTシティーに輸出入銀行の支店を設立する。
  5. 商事仲裁や関連サービスに関する国際金融サービス中央局(IFSCA)法の規定見直しを行い、SEZ法による重複する規制を廃止する。
  6. オフショアのデリバティブ契約を有効な契約と認定する。

また、デジタル継続性のソリューションを求める国々に対して、GIFT IFSCでの「データエンバシー」(注)の設置を歓迎するとしている。

これらの動きは、国外企業の買収を目指すインド企業の融資コストの削減や、デリバティブ商品のGITFシティーへの移管につながるため、GIFTシティーへの一層の資本移動が促進されるものと期待されている。

GIFTシティーのタパン・レイ最高経営責任者(CEO)は「政府が打ち出した政策的支援は、GIFTシティーの成長を促進し、国内外の企業にとって活気に満ちた国際金融ハブとなるための触媒として機能するだろう」と述べた。(「エコノミック・タイムス」紙2月2日付)

インド中央政府は、GIFTシティーをシンガポールやドバイなどと同様の国際金融ハブに育てる意向があり、毎年の新年度予算案でGITFシティー活性化に向けた重要な施策案を盛り込むようになっている(2022年3月22日付地域・分析レポート参照)。

(注)特に重要なデータベースに関し、国のデジタル継続性確保のために国家が実施しているソリューション。ある国のデータを別の国に置くものの、データの管轄主権は当該国にあり、別の国はソリューションの場所のみを提供している。

(古川毅彦)

(インド)

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