GIFTシティーがフィンテック分野でハッカソン主催

(インド)

アーメダバード発

2021年11月09日

インド初のスマートシティー開発として注目される、グジャラート州のグジャラート国際金融テックシティー(Gujarat International Finance Tec-City、2021年4月1日記事参照)には、金融オフショア取引の経済特区(SEZ)の「GIFT 国際金融サービスセンター(IFSC)」が設定され、国際金融サービスの「世界的ハブ」として発展することが期待されている。GIFT IFSCには「国際金融サービスセンター局」(International Financial Services Centres Authority: IFSCA)が設置され、インドの4つの金融規制当局(RBI、SEBI、IRDAI、PFRDA)の権限が統合され、申請案件の許認可が円滑になっている。

現在、IFSCAとGIFTシティーは、政府系シンクタンクのNITI Aayog外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと協力して、フィンテックをテーマにしたハッカソン「I-Sprint'21」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますシリーズを開催している。その第1シリーズとなる「Sprint01」(申し込み締め切り日:11月14日)では「Bank Tech」がテーマに設定されている。(1)統合された本人確認(KYC)技術、(2)IFSC向けのリテールバンキング技術、(3)輸出金融(バイヤーズクレジット)の最適化、(4)規制・監督関連技術(レグテック&スプテック)に関するソリューションを求めるものになっている。その他、「Sprint02」(申し込み終了)は「数理モデル教育プログラム」、「Sprint03」(申し込み締め切り日:11月13日)は「インシュア・テック」をテーマに参加者を公募中で、現在準備中の「Sprint04」のテーマは「マーケット・テック」を予定している。ハッカソンで選ばれた応募者は、12月に実施が予定されているIFSCA主催の「フラグシップ・フィンテック・フォーラム」で、自社のソリューションや製品を紹介する機会が与えられる。

インド政府は2021年の連邦予算で、GIFT IFSCにおいて、世界クラスの「フィンテック・ハブ」を育成することを発表しており、様々な具体的な取り組みが始まっている。GIFTシティーIFSC部長のサンディプ・シャー氏はジェトロの取材に対し、「GIFTシティーにフィンテック企業を集積させ世界的ハブに発展させるため、今後スタートアップ企業の支援をより一層強化していく方針」と述べた。「I-Sprint'21」もその取り組みの一環。

2021年7月には、GIFTシティーとBRTSIF(ムンバイ証券取引所の子会社とカナダの大学とのジョイントベンチャーによるスタートアップ・インキュベーター)が提携を発表している。その中では、BRTSIFがGIFT IFSCにスタートアップ企業を誘致するためのエコシステムの発展に重要な役割を果たすことで、GIFT IFSCを世界的なフィンテックハブに育てるというインド政府のビジョンを推進するとしている。

GIFTシティーは、金融オフショア取引の経済特区として、今後、航空機リース、船舶リースのハブ機能の発展も期待されるユニークな取り組み。2022年1月10~12日の日程で急きょ開催が決まった「バイブラント・グジャラート2022」(2021年10月25日記事参照)において、重要テーマのうちの1つとして取り上げられる。

(古川毅彦)

(インド)

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