イエス・バンクとGIFTシティーがフィンテック推進で覚書締結

(インド)

アーメダバード発

2022年09月26日

グジャラート(GJ)州政府がインド初の国際金融経済特区、グリーンフィールドからのスマートシティ事業として開発を進める「GIFTシティー」2021年7月11日付7月20日付地域・分析レポート参照)は96日、民間銀行であるイエス・バンク(Yes Bank、注1)と覚書を締結し、フィンテック分野においてスタートアップ企業を支援し、イノベーションやアクセラレーターの育成を行うと発表した(「デシ・グジャラート)紙96日)。

同覚書では、GIFTシティーと同行が協力して、国際金融サービスに関するさまざまなプログラムを通じ、インドのフィンテックハブとして振興し、フィンテック領域で活躍する若いイノベーターにチャンスを提供する取り組みを行うとしている。

今後、両者は連携し、ロードショウ、セミナー、ウェビナー、研修会、会議などを開催して、同分野のスタートアップ企業や新規参入者を呼び込む。また、決済、融資、ファイナンシャルプランニング、保険、レグテック(注2)、資産運用、貿易決済処理といったフィンテック領域にフォーカスしたブートキャンプ、ハッカソン、インキュベーション、アクセラレーションなどの起業家向けのプログラムを開発・実施していく予定だ。

インド政府はこれまでも連邦予算で、GIFT国際金融サービスセンター(IFSC)において世界クラスの「フィンテックハブ」を育成する方針を後押ししてきた。GIFTシティーは政府系シンクタンクのNITI Aayogなどと連携し、フィンテックをテーマにしたハッカソンシリーズやシンポジウムの開催実績を積み上げており、フィンテック分野のスタートアップ企業支援を一層強化していく姿勢を明確にしている。今回の動きは、GIFTシティーが提供する世界クラスのインフラ、財政、もろもろのインセンティブを活用し、GIFTシティーにフィンテック分野のスタートアップ・エコシステム構築を実現するための戦略的なイニシアチブを、有力民間銀行と連携することで、より強力に推し進めようというもの。

(注1)イエス・バンクは、2015年にGIFT国際金融サービスセンター(IFSC)に進出した最初の民間銀行。2004年の設立以来、法人顧客、中小企業顧客、個人顧客向けに、幅広い商品・サービス、技術主導のデジタルサービスを提供する「フルサービス商業銀行」に成長。ムンバイに本社を置き、インド国内28州および9連邦直轄領で事業を展開。

(注2RegTech(レグテック)は、規制(Regulation)と技術(Technology)を組み合わせた造語。金融規制対応やコンプライアンスのためのITを活用した金融ITソリューションを指す。

(古川毅彦)

(インド)

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