インド政府、GIFTシティーを通じ再生可能エネルギー事業に外貨建て融資

(インド)

アーメダバード発

2023年02月28日

インド再生可能エネルギー開発庁(IREDA、注)は、グジャラート(GJ)州に設置されたインド初の国際金融経済特区であるGIFTシティー(2019年5月10日付地域・分析レポート参照)に新たに事務所を設立し、再生可能エネルギー事業に対し、外貨建て融資を行う計画を発表した。GIFTシティーに設立する事務所は海外事務所に分類されるため、IREDAの取り組みは為替ヘッジのためのコストを回避できるメリットがある(インド新・再生可能エネルギー省プレスリリース2月24日付)。

IREDAがGIFTシティーを通じた外貨建て融資を行う同計画については、IREDAの理事長兼マネージングディレクター(CMD)であるシュリ・プラディップ・クマール・ダス氏が、2月23日に新・再生可能エネルギー省で開催された「G20」(2023年2月24日記事参照)関連イベント「新興国におけるクリーンエネルギー投資の拡大」に関するパネル討論において言及したものだ。

インド政府は、2030年までにエネルギー需要の半分を再生可能エネルギーで賄い、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減するという目標を掲げている(2021年11月5日記事参照)。この目標の達成を背景に、同イベントにおいてダス理事長は、グリーンエネルギー事業のために約25兆ルピー(約40兆円、1ルピー=約1.6円)規模の基金を立ち上げるためには「グリーン・タクソノミー」が重要だと強調した。さらに、グリーンエネルギー事業への融資を促進するため、保険や年金基金による運用資産の2%をグリーンボンドに投資するよう義務付けることができるのではないかと示唆した。

また、世界銀行、ドイツ復興金融公庫(KfW)、国際協力機構(JICA)、アジア開発銀行(ADB)などの主要な国際機関は、再生可能エネルギー事業のためにIREDAを通じた資金調達を希望している。そして、IREDAがこれら事業の資金調達先の第1候補であることを実証しているとする一方、これらの機関に対して、資金調達をさらに加速させるため、各機関内における処理時間を短縮し、その他のボトルネックを減らすことで承認プロセスを見直すよう要請するとともに、IREDAは今後も再生エネルギー事業分野への融資において母体的役割を担っていくだろうと述べた。

GIFTシティーにおいては、民間金融機関や関連企業のみならず、新開発銀行(NDB)、国際仲裁機関、証券取引所などの公的機関の進出も相次いでおり、今後もインド初の国際金融経済特区としての多様な機能を活用したさらなる進出が見込まれる(2022年7月11日付地域・分析レポート2022年7月20日付地域・分析レポート参照)。

(注)IREDAは、1956年会社法第4条Aに基づく「公的金融機関」として認定、インド準備銀行(RBI)に非銀行金融会社(Non-Banking Financial Company:NBFC)として登録されている。新・再生可能エネルギー省(MNRE)の管理下で、新エネルギーや再生可能エネルギー、エネルギー効率・節約に関するプロジェクトの開発、推進、資金援助に取り組む。

(古川毅彦)

(インド)

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