米半導体産業、対中半導体輸出管理で同盟国との早期連携を政府に要請

(米国、中国、日本、韓国、台湾、EU、オランダ)

ニューヨーク発

2022年11月07日

米国半導体産業協会(SIA)のジミー・グッドリッチ副会長(国際政策担当)は11月4日、ワシントン国際貿易協会(WITA)主催の公開イベントに登壇し、バイデン政権が10月7日に公表した中国向けの先端半導体などに関する新たな輸出管理規則(2022年10月11日記事参照)について、同盟国と早期に連携しなければ、米国企業だけが不利益を被るとの懸念を示した。

グッドリッチ氏は、今回の規則導入について大きく2点、問題があったとの認識を示した。1点目は、米国単独での厳しい輸出管理規則の先行導入だ。米国の半導体産業は新規則公表後、企業コンプライアンスの観点から同規則を理解するために多忙を極めており、引き続きその内容と影響を精査しているとした。一方で、アプライドマテリアルズやラムリサーチなどの半導体製造装置メーカー数社がすでに収益見通しを下げていることに言及し、半導体産業で優位性を持つ同盟国と早期に多国間の輸出管理枠組みを構築しなければ、米国企業だけが損害を被るほか、中国は引き続き他国から技術を入手できるため、米国政府の目的は達成されないとの認識を示した。2点目は、米国政府が産業界にほとんど関与することなく、今回の新規則を公表したことだ。グッドリッチ氏によると、米国政府は過去数十年間、規則策定の過程において民間企業から意見を聴取したり、専門家も含んだ諮問委員会で議論したりしていた。しかし今回は、特定の企業に規則強化の通知状を送付し、それを後日一般化するという唐突なプロセスで、産業界としては驚きだったとした。デュアルユース製品の輸出管理を管轄する商務省のアラン・エステベス次官は10月27日の公開イベントで、今回の新規則は米国産業界にとって衝撃的なものではなく、良いフィードバックを得ていると発言しており、政府と産業界の間に認識の不一致がみられる(2022年10月31日記事参照)。

経済ニュースのブルームバーグ(11月4日)によると、エステベス次官と国家安全保障会議(NSC)高官のタルン・チャブラ氏は、11月下旬にオランダを訪問し対中半導体輸出管理について議論を行う予定だ。ジーナ・レモンド商務長官はこうした同盟国との調整について、6~9カ月はかかるとの認識を米国企業の代表に伝えたとされる。

なお、商務省産業安全保障局(BIS)は今回の新規則に関する情報を集約した特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開している(2022年11月1日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国、日本、韓国、台湾、EU、オランダ)

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