広州市の人出は回復傾向に、日系企業は春節前後の感染再拡大を警戒
(中国)
広州発
2022年12月28日
中国広州市では、12月1日に新型コロナウイルスの防疫措置が大幅に緩和されて以降(2022年12月2日記事、12月9日記事、12月21日記事参照)、市内感染が急拡大したが、足元では感染のピークを越えたとみられる。感染拡大を受けて一時、市中の人出は減り、広州地下鉄の利用者数も大幅に減少していたが、ここにきて回復傾向がみられている。
広州地下鉄が12月27日に発表した、同月26日の地下鉄利用者数をみると、一週間前の月曜日(12月19日、276万4,000人)と比べ54.1%増の425万9,000人となった。12月12日の週の平日(12月12~16日)の1日当たりの平均利用者数(約393万人)および翌週の12月19日の週(12月19~23日)の平均利用者数(約293万人)との比較でも、足元で利用者が増え始めていることが読み取れる。
日系企業の出勤率にも改善の兆しがみられる。ジェトロが12月26~27日に在広州市日系企業数社に対してヒアリングを行ったところ、各社における出勤可能な人数の割合は、前週(12月19日の週)の3~4割から、おおむね5~6割程度に回復しているという。他方、市内経済開発区に進出する日系製造業は「春節(旧正月)前の稼働はおおむね問題ないが、春節前後の人の移動による感染拡大リスクを警戒している」と指摘する。同社は、春節後の順調な稼働再開に向け、春節に帰省しない従業員に対するボーナス支給など対策を検討しているという。
広東省政府は、感染拡大に伴い医療設備体制の確保に力を入れている。仏山市では12月23日、1日当たり最大8,000人の患者を診察できる発熱外来を、展示会場である仏山潭州会展中心に設置。運営開始初日には1,250人が診察を受けたと報じられている(「南方網」12月24日)。
広東省の王偉中省長は12月24日、広東省疾病予防工作テレビ会議の中で、「『20条』(「新型コロナウイルス感染拡大の予防抑制措置をよりいっそう合理化し、科学的で精密な防疫を徹底する通知」を指す、2022年11月15日記事、12月1日記事参照)の堅実かつ綿密な実行を行うとともに、各地域と各部門における診療能力の向上、指定病院の重症病床および副指定病院における増床工事の加速、2級以上の病院、特に3級病院の重症病床の能力拡大、県病院の診療能力と鎮衛生機関の紹介受け付け能力の向上に注力し、インターネット病院(注)や省の遠隔医療プラットフォームを活用してオンライン診療サービスの提供を進めていく」とし、新型コロナ感染拡大に対する十分な体制を引き続き確保することを強調した。
(注)対面診療以外にオンライン診療を提供する病院のこと。
(田中琳大郎)
(中国)
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