メルセデス、低炭素アルミニウムをノルスク・ハイドロから調達
(ドイツ、ノルウェー)
ミュンヘン発
2022年12月22日
ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは12月15日、ノルウェーのアルミニウム大手ノルスク・ハイドロと、持続可能なアルミニウムのサプライチェーンを構築するための意向表明書(LoI)に署名したと発表した。
具体的には、メルセデス・ベンツは2023年から、低炭素アルミニウムの試験供給をノルスク・ハイドロから受ける。同アルミニウムは、製品ライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出量を欧州平均に比べ約7割削減したもの。メルセデス・ベンツは既に、同社シュツットガルト・メッティンゲン工場の鋳造工程に、ノルスク・ハイドロから低炭素アルミニウムの供給を受けているが、その連携をさらに進める。2030年までにはCO2排出量ほぼゼロのアルミニウムの供給を目指す。また、両社はアルミニウムのリサイクルの分野でも協力する。リサイクルしたアルミニウムを利用することで、新規素材の使用に比べ、必要なエネルギーは約5%で済むという。
メルセデス・ベンツは2019年5月発表の計画「アンビション2039(Ambition2039)」で、2039年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成する目標を掲げる(2022年4月19日記事参照)。ドイツ自動車大手のBMWによると、中型電気自動車(AV)のサプライチェーンのCO2排出量は、蓄電池セルに次いでアルミニウムが高いとされる(2022年11月28日記事参照)。このため、アルミニウムのサプライチェーンのCO2削減も目標達成のために必須で、今回の提携につながったものとみられる。
自動車メーカーの間では、サプライチェーンのCO2削減のため、CO2をほとんど排出しない鉄鋼(グリーン鉄鋼)を調達する動きも相次ぐ。メルセデス・ベンツは2021年5月、スウェーデンのH2グリーンスチールに出資するとともに、同社から2025年以降、グリーン鉄鋼を調達すると発表した(2021年11月19日記事参照)。BMW(2022年2月14日記事参照)、フォルクスワーゲン(2022年3月25日記事参照)、欧州フォード(2022年11月7日記事参照)などもグリーン調達を進めている。
(高塚一)
(ドイツ、ノルウェー)
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