VW、2025年末からグリーン鉄鋼を調達

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年03月25日

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は3月21日、ドイツ鉄鋼メーカーのザルツギッター(Salzgitter)と、生産過程で二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しない鉄鋼(グリーン鉄鋼)を2025年末から同社より調達することで合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ザルツギッターが新たな方法で生産するグリーン鉄鋼は、生産過程でのCO2排出量を2033年までに95%以上削減できるという。両社は2022年中に、2025~2030年のグリーン鉄鋼の調達量を具体化する予定だ。

ザルツギッターから調達するグリーン鉄鋼は、VW本社工場であるボルフスブルク工場で使用する。VWは2026年からボルフクスブルク工場で生産するバッテリー式電気自動車(BEV)の次世代モデル「トリニティ(Trinity)」(2022年3月14日記事参照)などに、グリーン鉄鋼を使用する。VWは2021年から既に、ザルツギッターと生産過程でのCO2排出量を66%削減した鉄鋼の調達を試験的に実施し、2022年には3,000トンを調達予定だ。また、今回の合意には、ボルフスブルク工場で出た鉄スクラップをザルツギッターの工場に戻し、それを鉄鋼生産に再利用するプロジェクトを進めることも含まれるという。

VWは2019年7月、「goTOZero」戦略を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、VWグループ全体で2050年までのカーボンニュートラルを目指している。また同戦略の中で、製造から廃車までの製品ライフサイクル全体を通したCO2排出量を、2025年までに2015年比で3割減らすことを目標にしている。VWは、製造過程でCO2を多く排出する工程(ホットスポット)で重点的にCO2を削減するアプローチを取る。具体的には、BEVのパワートレイン、アルミニウム製造と並び、製鉄時のCO2排出量が多いという。またVWは、電動化によって調達におけるCO2削減の重要さが増すと指摘している。例えば、内燃機関を搭載した車種「ゴルフ」では、製品ライフサイクル全体のCO2排出量に占める調達の割合が17%だったのに対し、BEV「ID.3」では、その割合が42%に達するという。

ドイツ自動車大手や部品メーカーでは、グリーン鉄鋼を調達する動きが相次いでいる。ドイツ自動車大手のBMWが2022年2月に、ザルツギッターからグリーン鉄鋼を2026年から調達すると発表したほか(2022年2月14日記事参照)、メルセデス・ベンツや自動車部品大手のシェフラーもグリーン鉄鋼の調達を発表する(2021年11月19日記事参照)などの動きがみられる。

(高塚一)

(ドイツ)

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