欧州フォード、グリーン鉄鋼調達に向け鉄鋼3社と覚書締結

(ドイツ、オランダ、米国)

ミュンヘン発

2022年11月07日

ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州ケルンに本社を有する欧州フォードは10月25日、鉄鋼会社のタタ・スチール・ネザーランド(オランダ)、ザルツギッター(ドイツ)、ティッセンクルップ(ドイツ)と、生産過程で二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しない鉄鋼(グリーン鉄鋼)の利用で、協力のための覚書を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

フォードは調達したグリーン鉄鋼を2023年からケルン工場で生産予定のバッテリー式電気自動車(BEV)の新モデル(2022年3月18日記事参照)にまずは使用したい意向。フォードは2030年までに自動車生産用鉄鋼・アルミニウムの1割をグリーン鉄鋼とする目標を掲げている。

また、欧州フォードは2035年までの気候中立も目標に掲げている。今回のグリーン鉄鋼調達の動きはその目標達成に寄与するものだ。欧州フォードは2021年2月、ケルン工場を欧州向け電動車の研究開発・製造拠点にすると発表(2021年3月23日記事参照)、発表当時10億ドルとしていた総投資額を20億ドルに倍増させている。エネルギー効率の高い拠点に作り変えることで、年間2,000トン以上のCO2と2,600メガワット時以上の電力を削減できるという。

ドイツの自動車・自動車部品メーカーで、グリーン鉄鋼の調達を目指す動きが相次いでいる。BMWは2022年2月、ザルツギッターと、欧州工場で量産する乗用車向けにグリーン鉄鋼を2026年から調達することで合意した(2022年2月14日記事参照)。自動車部品大手シェフラーは2021年11月、スウェーデンのスタートアップ企業H2グリーンスチールからグリーン鉄鋼を2025年以降に年間10万トン調達すると発表している(2021年11月19日記事参照)。なお、ドイツ連邦政府はティッセンクルップとザルツギッターの水素を利用したグリーン鉄鋼生産への助成を決定している(2021年11月25日記事2022年10月25日記事参照)。

(高塚一)

(ドイツ、オランダ、米国)

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