BMW、ザルツギッターからグリーン鉄鋼を調達

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年02月14日

ドイツ自動車大手のBMWは2月1日、ドイツ鉄鋼メーカーのザルツギッター(Salzgitter)と、欧州工場で量産する乗用車向けに、生産過程で二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しない鉄鋼(グリーン鉄鋼)を2026年から調達することで合意したと発表した(BMWプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ザルツギッターによると、グリーン鉄鋼は石炭などの化石燃料ではなく、水素と再生可能エネルギーを利用して生産するため、生産過程でのCO2排出量を95%以上削減できるという。BMWは2021年10月、スウェーデンのスタートアップ企業H2グリーンスチールとも、2025年以降の欧州工場向けグリーン鉄鋼の供給で合意している。今回のザルツギッターからの供給と合わせ、2030年までにBMW欧州工場向け鉄鋼の4割以上がグリーン鉄鋼になる予定。これにより、毎年最大40万トンのCO2排出を削減できる見込みだ。

BMWは、遅くとも2050年までにバリューチェーン全体で気候中立を達成することを目標に掲げ、2030年までに、車両1台当たりのスコープ3上流(注)でのCO2排出量を2019年比で少なくとも2割削減することを目指している(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。そのためには特に、生産過程でCO2を多く排出する鉄鋼などのCO2削減が必要となる。サプライチェーン全体でのCO2削減のためグリーン鉄鋼を調達する動きは、メルセデス・ベンツなどの他のドイツ自動車メーカーや、シェフラーなどの自動車部品大手でも進んでいる(2021年11月19日記事参照)。

また、BMWはザルツギッターと、2017年からドイツ東部のBMWライプチヒ工場で鉄スクラップを再利用するプロジェクトも進めている。BMWによると、現在、乗用車生産に使われる鉄鋼の最大4分の1が再利用された鉄鋼によるもので、2030年までにこの割合を徐々に5割まで高めることを目指す。鉄スクラップから鉄鋼を製造すれば、新たに製造する場合に比べ、平均5割から8割のCO2排出を削減できるという。

(注)温室効果ガス(GHG)排出量の算定、報告の基準の1つ。そのスコープ1では、事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)を対象にする。スコープ2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。さらに、スコープ3では、スコープ1とスコープ2以外の間接排出(事業活動に関連する他社の排出)にまで踏み込む。「スコープ3上流」とは、スコープ3のうち原材料調達やその輸送に関する部分のこと。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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