メルセデス・ベンツ、ESGカンファレンスを初開催

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年04月19日

ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは4月11日、投資家やアナリスト向けに「環境・社会・ガバナンス(ESG)カンファレンス」を初めて開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同カンファレンスはオンラインで実施した。

環境について、メルセデス・ベンツは、2030年までに乗用車1台当たりの全ライフサイクルの二酸化炭素(CO2)排出量を2020年比で50%以上削減するとした。目標達成の方策としては、(1)自動車の電動化、(2)再生可能エネルギー(再エネ)での充電、(3)蓄電技術の向上、(4)生産におけるリサイクル素材と再エネの導入、を挙げた。同社は既に、2019年5月発表の計画「アンビション2039(Ambition2039)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2039年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。

自動車の電動化について、メルセデス・ベンツは、バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の割合を2025年までに販売台数の5割まで高めるとした。同社の2022年1月発表(2022年1月24日記事参照、注)では、2021年の販売台数に占めるBEVおよびPHEVの割合は10.9%。加えて、市場条件が許す地域において2030年までに完全BEV化を目指す(2021年8月3日記事参照)。また、再エネでの充電を進めるべく、欧州に約30万カ所の充電施設を整備する。

蓄電技術の向上では、蓄電池生産プロセスでのCO2削減を進めるとともに、蓄電池のリサイクルも進める。具体的には、ドイツ南部バーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルトの西方約80キロに位置するクッペンハイムに、カーボンニュートラルとなる自社の蓄電池リサイクル工場を建設中で、2023年に操業の見込みだ(2021年8月3日記事参照)。また、リサイクル素材の活用も進め、2030年までに車両1台当たりに使用するリサイクル素材の割合を4割まで高めることを目標に掲げる。さらには、2030年までに生産に必要なエネルギーの7割以上を再エネでカバーする。目標達成のため、自社での太陽光・風力発電を増やすほか、外部からの再エネ調達をさらに進める。

また同社は人権尊重について、同社の「人権尊重システム(Human Rights Respect System)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を活用してサプライチェーンにおける透明性を高め、リスクが高いとされるコバルト、リチウムなど24の原材料について必要な措置を取ることを強調した。人材多様性については、2030年に管理職ポジションの女性の割合を3割まで高めることを目指す。メルセデス・ベンツグループ役員では既に、8ポストのうち3ポストを女性が占めている。

(注)2022年1月時点の社名は「ダイムラー」だったが、2月1日に「メルセデス・ベンツグループ」に社名を変更した。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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