VW、自動運転技術に関する方針を発表
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年11月09日
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループは10月26日、自動運転技術に関する方針を発表した。自動運転技術の開発への取り組み強化は、VWグループが2021年7月に発表した「ニューオート(NEW AUTO)
」戦略の中核となる。
VW商用車部門がグループ内で、自動運転分野における「モビリティ/トランスポーテーション・アズ・ア・サービス(MaaS/TaaS、注1)」の開発・実行を担当する。2025年にハンブルクで、電気小型バス「ID.Buzz」を使い、自動運転でのライドシェアサービスを開始する予定だ。同サービスでは、VWグループ子会社で、都市圏におけるライドシェア事業を担当するモイア(MOIA)
と協力する。MOIAは既に、2018年からハノーバーで、2019年からはハンブルクでライドシェアサービスを提供している。
一方、VWグループ内での乗用車自動運転向け技術・ソフトウエアの開発は、グループ内向けソフトウエア開発を担うカリアドが担当する。カリアドは、2022年1月に発表したボッシュとの自動運転向けソフトウエア開発を進める(2022年2月3日記事参照)。具体的な目標としては、2023年に、都市部と郊外、高速道路での自動運転レベル2(注2)での走行、加えて、高速道路でのレベル3での走行を目指す。また、中国での自動運転開発では、北京地平線機器人技術研発(Horizon Robotics、地平線)との協力を進める(2022年10月24日記事参照)。なお、VWは米国の自動運転技術企業であるアルゴAI(ARGO AI)への、総額26億ドルの投資を2019年に発表していたが(2019年7月18日記事参照)、今後、アルゴAIへの投資は行わない。
ドイツでは2021年、レベル4の自動運転が可能となる法律を世界で初めて施行(2021年6月7日記事参照)、2022年6月には関連政令を成立させた(2022年6月3日記事参照)。また、メルセデス・ベンツが2021年に世界で初めて、自動車線維持システム(ALKS)による自動運転の型式認証をドイツ連邦自動車局(KBA)から受けるなど(2021年12月9日記事参照)、自動運転に関する個社の取り組みも進んでいる。
(注1)移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。
(注2)自動車技術者協会(SAE)が定義する自動運転のレベル。レベル2で「ハンズフリー」状態の走行が可能。レベル3では、限定された領域内でシステムが原則全ての運転タスクを実施するが、作動継続が困難となる場合、運転者が適切な対応をする必要がある。レベル4では、限定された領域内で加速と操舵(そうだ)、制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態の走行が可能。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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