VW、中国で合弁会社を設立し、自動運転開発を強化

(中国、ドイツ)

北京発

2022年10月24日

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループは10月13日、傘下のソフトウエア開発子会社カリアド(CARIAD、2021年12月14日記事参照)と、自動運転向けの人工知能(AI)チップを研究開発する北京地平線機器人技術研発(Horizon Robotics、地平線)が中国に合弁会社を設立すると発表した。CARIADは約24億ユーロを出資し、60%の株式を取得する。VWの発表によると、取引は2023年上半期に完了する予定。

設立する合弁会社は中国市場のニーズに応じて、自動運転に必要な多くの機能を1つの半導体に統合できる技術を開発する。VWグループが中国で生産している電動自動車向けに自動運転ソリューションを提供するとしている。

報道によると、2022年1~9月に中国市場でのVWグループの新エネルギー車販売台数は累計で13万4,200台となっている(注、「財経雑誌」10月16日)。

VWグループ(中国)董事長兼最高経営責任者(CEO)のラルフ・ブランドシュテッター氏は「地平線との協力は、VWグループの中国での戦略的な事業変革を推進し、中国事業の基盤を強化するものだ」と述べた。また、中国での研究開発は同グループの中国自動車市場での主導的な地位をさらに強固にするとした。設立する合弁会社は自動運転関連の最先端技術を開発し、中国の消費者にカスタマイズされた製品とサービスをより速いスピードで継続的に提供することを可能にするとも述べた。地平線との連携により、VWグループは自動運転分野の発展を加速し、同グループのニューオート(NEW AUTO)戦略と中国事業のモデルチェンジを推進するとコメントした。

地平線は2015年に設立され、自動運転向けのAIチップを用いたソリューションを提供している。2020年3月には車載AIチップの量産を開始し、現時点までに20社超の企業の70車種超に対して、累計で150万枚超のAIチップを提供した。

また、同社はアウディ(Audi)や比亜迪(BYD)、長安汽車、長城汽車、理想汽車、奇瑞汽車、上海汽車など多くの自動車メーカーや、ドイツのコンチネンタル、フランスのフォルシア(FORVIA)、中国のフリーテック(FreeTech)などの自動車部品メーカーと提携し、自動運転実現に向けた自動車産業のエコシステムを構築している。

(注)中国自動車工業協会の発表によると、2022年1~9月の中国の新エネルギー車販売台数は456万7,000台で、自動車販売台数全体の23.5%を占めている。

(張敏)

(中国、ドイツ)

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