次世代自動車のための自動運転と急速充電インフラ整備に関する2法案が可決

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年06月07日

ドイツで、次世代自動車に関連する2法案が可決、成立した。具体的には、電気自動車(EV)用の急速充電整備法案、および公道でのレベル4の自動運転を可能にする道路交通法改正案(自動運転法)が5月20日に連邦議会(下院)で、5月28日に連邦参議院(上院)で可決された。いずれの法律も今後、連邦大統領が署名した後に官報に掲載され、掲載日の翌日に施行される。

EV用の急速充電整備法案は、連邦政府が2021年2月に閣議決定したもの(2021年2月24日記事参照)。同法律では、急速充電インフラの拡大によるEVの普及を目指し、2023年までに全国にくまなく1,000カ所の急速充電施設の設置を目指す。連邦議会で、連邦政府が閣議決定した法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから一部修正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがされた。具体的には、急速充電ネットワークを構築するための公共入札方法についてより具体的に定められたほか、交通・デジタルインフラ省に対し、2024年から2年ごとに、急速充電インフラの整備状況などを連邦議会に報告することが課された。公共入札は2021年夏から始まる見込み。予算は約20億ユーロ。

国立充電施設センターによると、ドイツ国内の公共充電施設は4万2,993カ所で、うち急速充電施設は14.2%の6,099カ所(5月1日時点)。連邦政府は充電施設の拡充に関して、2021年末までに約7万2,000カ所とする目標を掲げている(2020年11月25日記事参照)。

道路交通法改正案(自動運転法)(2021年2月16日記事参照)は、特定分野に限定して、公道でのレベル4(注)の自動運転を可能にするもの。特定分野とは、シャトル交通サービスや自動運転ミニバスなどで、本法律の枠内で州関係当局が具体的分野を別途規定する。

連邦政府が閣議決定した法案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から、連邦議会で一部修正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがされた。具体的には、自動運転車両の製造者に対する、自動運転車両利用時に利用者個人のデータと自動運転に必要なデータを収集・保存する際のルールをさらに詳細化した点や、非個人データは、デジタル化・自動化に関する研究、交通事故の分析など公共の利益のためであれば利用できる場合をさらに明確化した点などだ。

(注)自動車技術者協会(SAE)が定義する自動運転のレベル。レベル3では、限定された領域内でシステムが原則全ての運転タスクを実施するが、作動継続が困難となる場合、運転者が適切な対応をする必要がある。レベル4では、限定された領域内で加速・操舵(そうだ)・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態での走行が可能。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

ビジネス短信 c1b16d24eee741b6