米内務省、アラスカ沖の海洋鉱区リースの詳細を発表、インフレ削減法に準拠

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月30日

米国内務省の海洋エネルギー管理局(BOEM)は11月28日、アラスカ沖の海洋鉱区リース権の販売に関する詳細を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年8月16日に成立したインフレ削減法(2022年8月17日記事参照)には、連邦政府が管轄するメキシコ湾(2022年9月16日記事参照)とアラスカ沖の領海外大陸棚(OCS)における追加リースが盛り込まれていた。

BOEMの発表によると、リース販売の対象は、アラスカ沖クック湾周辺の約95万8,000エーカー(約3,878平方キロ、詳細は対象区域図PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照)。リース販売は2023年12月30日に開始される予定で、原油が最大約1億9,000万バレル、天然ガスが最大約3,000億立方フィート(約85億立方キロ)生産できる可能性がある。他方、アラスカ沖クック湾は業界からの関心が低く、リース販売がいったん取り止めになった経緯がある(2022年5月18日記事参照)。実際に、原油の掘削や生産が行われるかは不透明な状況だ。

原油の生産に関しては、財務省が2022年11月26日に米国石油大手シェブロンに対しベネズエラでの石油事業の限定的再開を認めるなど(2022年11月28日記事参照)、中長期的な供給の改善を期待させるニュースが相次ぐ。需要面では、中国での都市封鎖再開などの影響を受け、米国WTI原油先物価格が11月28日に1バレル当たり約74ドルと2021年12月以来の水準にまで低下した。このようなエネルギー価格の低下は、インフレを抑制する上で政権の追い風となるが、気候変動対策の観点からはマイナスの側面を持っている。ジョー・バイデン大統領は、先日開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において「主要排出国は(産業革命前からの気温上昇の)1.5度目標で協調が必要」と述べたが(2022年11月15日記事参照)、どこまで化石燃料の開発を許容していくのか、その動向に注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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