バイデン米大統領、インフレ削減法案に署名、中間層に成果アピール

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月17日

米国のジョー・バイデン大統領は816日、連邦議会が可決した「インフレ削減法案(H.R.5376)」に署名した(2022年8月15日記事参照)。

上院民主党が公表している試算外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同法は今後10年で、気候変動対策などに4,370億ドルを歳出する一方、一部税制や薬価に関する改革などで7,370億ドルの歳入を見込んでおり、差し引きで3,000億ドル以上の財政赤字の削減が実現できるとされている(添付資料表参照)。ホワイトハウスは署名前日の15日に、民主党を支持する中間層を意識して、同法がもたらす効果をまとめたデータを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。主な点は次のとおり。

ヘルスケア:

  • メディケア加入者500700万人にとって、処方箋薬価の値下げが期待される。
  • メディケアの医薬品補償(パートD)を受ける加入者5,000万人にとって、薬局に支払う年間上限額が2,000ドルに設定される。
  • 1,300万人の国民が医療保険の支払いで、年間平均800ドルを節約できる。

クリーンエネルギー:

  • クリーンエネルギーや電気自動車(EV)関連の税額控除を利用する家計は、年間1,000ドル以上を節約できる。
  • ヒートポンプやそのほかエネルギー効率の高い家電を購入する家計に、14,000ドルのリベートを提供。年間で最低350ドルの節約となる。
  • 新規のEV購入に最大で7,500ドル、中古のEV購入に4,000ドルの税額控除を提供。年間で950ドルの節約となる。

税制:

  • 今後10年で、富裕層と大企業が本来支払うべきだった1,240億ドルの税を徴収する。
  • 年収40万ドル未満の家計に対して、税の引き上げは一切生じない。

バイデン大統領は署名式で「米国の歴史で最も重要な法律」とその成果を強調した。大統領は今後数週間かけて、法律が全米にもたらす効果を宣伝し、96日にあらためて法律の施行を記念した式典を開催する予定(CBSニュース816日)。一方、共和党は強く批判している。上院予算委員会で少数党筆頭理事を務めるリンゼー・グラハム議員(サウスカロライナ州)は8月4日の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、議会予算局(CBO)が同議員の質問に対する回答で、同法が2023年にインフレに与える影響はマイナス0.1%~プラス0.1%の範囲内と試算した点を挙げて、「この税と歳出の提案がインフレを抑えるという考えは、今回CBOによって拒否された。民主党の主張は間違っており、誤解を招くものだ」としている。812日には「米国民よ、この狂騒を11月に止めることができるのはあなたたちだけだ」と、11月の中間選挙での争点化を示唆する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(磯部真一)

(米国)

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