10月の経済指標、消費の伸びが前年同月比で5カ月ぶりのマイナスに

(中国)

北京発

2022年11月16日

中国・国家統計局は1115日、2022110月および10月の主要経済指標を発表した(添付資料表参照、注1)。

110月の投資(固定資産投資)は前年同期比5.8%増(19月:5.9%増)と、前月から0.1ポイント減速した。インフラ投資は8.7%増(8.6%増)と伸びが6カ月連続で加速した一方、製造業投資は9.7%増と前月から0.4ポイント減速、民間投資も1.6%増(2.0%増)と減速傾向が続いた(注2)。

また、110月の不動産開発投資は前年同期比8.8%減(8.0%減)と引き続き減少幅が拡大した。中国当局は9月末に住宅販売の回復を図る政策を相次いで打ち出した(注3)が、110月の住宅販売額は28.2%減と、19月(28.6%減)からは若干減少幅が縮小したものの、依然として前年同期比で大幅なマイナスが続いている。国家統計局の付凌暉報道官は、不動産市場には一定のポジティブな変化がみられるものの、下降トレンドはまだ続いているとの認識を示した。

110月の消費(社会消費品小売総額)は前年同期比0.6%増となり、伸びが19月から0.1ポイント減速した。10月の消費は前年同月比0.5%減(自動車販売を除くと0.9%減)となり、上海市などにおいて新型コロナウイルス感染が拡大し、大規模な防疫措置が取られた20225月以来5カ月ぶりの減少となった。飲食消費は前年同月比8.1%減と減少幅が拡大した。商品別では、自動車の消費が前年同月比3.9%増と前月から10.3ポイント低下したほか、衣類や家電類で減少幅が拡大し、日用品類や通信機器類で伸びがマイナスに転じた。統計局の付報道官は、国内での局所的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で一部地域におけるオフライン消費が一定程度下押しされ、サービス消費も減速したと指摘した。

110月の工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比4.0%増と前月(3.9%増)から0.1ポイント加速した。10月単月では前年同月比5.0%増(9月は6.3%増)と、伸びが1.3ポイント減速した。

110月の消費者物価上昇率は2.0%だった。10月単月では2.1%となり、9月(2.8%)から0.7ポイント低下した。10月末の都市部調査失業率は5.6%で前月比横ばいだった。同月に広東省広州市、重慶市、河南省鄭州市などの大都市で感染拡大が起きたため、同月の31大都市の調査失業率は6.0%と5月(6.9%)、4月(6.7%)に次いで2022年内で3番目に高い水準となった。1624歳の調査失業率は17.9%で前月比横ばいだった。

(注1202210月の貿易動向については2022年11月11日記事参照

(注2)経済メディア「財新」は、製造業投資の減速について、輸出の落ち込みや工業企業利益の減少を要因と指摘しているほか、不動産投資の減少幅が拡大している点について、不動産販売が弱く、市場のマインドが改善しないためと分析している(「財新」1115日)。

(注3)中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は929日、「差別化された住宅貸付政策の段階的調整に関する通知」を発表し、1件目の個人向け住宅ローン金利の下限引き下げを可能とした(2022年10月12日記事参照)。このほか、人民銀行は1件目の住宅購入時の住宅積立金貸出金利の引き下げ(2022年10月12日記事参照)を、財政部と国家税務総局は住宅買い替え支援に関する個人所得税還付(2022年10月12日記事参照)を打ち出している。なお、直近では人民銀行や銀保監会が「金融による不動産市場の安定的で健全な発展のサポートを徹底する通知」を打ち出すなど、引き続き不動産業界に対する政策的支援が行われている。

(小宮昇平)

(中国)

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