10月の貿易、ドル建てでは輸出入ともに前年同月比マイナスに

(中国)

北京発

2022年11月11日

中国海関総署の11月7日の発表によると、10月の貿易総額は前年同月比0.4%減の5,116億ドル、輸出額は0.3%減の2,984億ドル、輸入額は0.7%減の2,132億ドルで、貿易収支は852億ドルの黒字となった(注)。輸出の伸びは、ドル建てでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年5月以来のマイナスとなり、元建てでも前月より減速した。10月の貿易貨物輸送量は前年同月比3.5%増(9月:0.1%増)、うち輸出は7.9%増(2.6%増)、輸入は1.2%増(1.3%減)だった。

10月の中国の貿易額を主要な相手先についてみると、輸出では、最大の相手先のASEAN向けの伸びが2桁を保ったものの、やや減速したほか、2位の米国向けは減少幅が拡大し、3位のEU向けも前年同月比マイナスに転じた。輸入では、ASEANを除く主要国・地域が引き続き前年同月比で減少している(添付資料表参照)。

10月の輸出額を主要品目別にみると、過半を占めるエレクトロニクス製品の伸びが前年同月比マイナスとなった。また、9月に前年同月比3桁の伸びを示した自動車は2桁の伸びに、2桁の伸びを示した携帯電話は1桁になるなど、比較的好調だった品目も伸びが減速した。輸入では、食糧、天然ガス、化粧品類、集積回路の数量が2桁減となった。

光大銀行金融市場部の周茂華マクロ研究員は、10月は輸出入ともに予想以上に縮小したとの見方を示した。その上で、不振の要因について、輸出に関しては、国外の高インフレや経済見通しの不確実性によって消費者のマインドが悪化し、クリスマス商戦需要が落ち込んだことや、前年同期の比較対象となる数値が比較的高かったことを要因として挙げた。輸入については、国内で短期的な要因により需要の回復ペースが緩慢であったことに加えて、不動産が回復の途上にあり、かつ、エネルギー・原材料価格の高止まりにより企業の在庫補充意欲が弱まったことが下押ししたと分析している(「21世紀経済報道」11月8日)。

(注)10月の貿易を人民元建てで見ると、貿易総額が前年同月比6.9%増(9月:同8.3%増)、輸出額が7.0%増(10.7%増)、輸入額が6.8%増(5.2%増)となった。

(小宮昇平)

(中国)

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