米ニュースケールとカナダのプロディジー、洋上可搬型小型原発の設計へ

(米国、カナダ)

ヒューストン発

2022年10月27日

米国の小型モジュール式原子炉(SMR)の技術開発を行うニュースケール・パワーは10月26日、洋上と陸上で可搬型原子力発電施設の開発を行うカナダのプロディジー・クリーン・エナジーと、洋上可搬型SMR発電施設の概念設計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この概念設計は電力会社や規制当局、造船所メーカーとの契約で使用する予定だ。

両社は北米での洋上SMR発電施設を市場投入するという共同目標の下、2018年から覚書に基づいて協業している。両社は同施設で発電するカーボンフリー電力によって大規模な電化を支援し、水素やアンモニアなどのゼロカーボン燃料を製造し、輸送・海運部門の脱炭素化を実現するとしている。

プロディジーの洋上SMR発電施設は、ニュースケールのSMRを1基から最大12基まで搭載する規模の拡張性があるとしており、合計924メガワット(MW)の発電を実現可能としている。洋上SMR発電施設は洋上の設置場所へ海上輸送し、保護された港湾内の所定の位置に固定するという。

ニュースケールのジョン・ホプキンス社長兼最高経営責任者(CEO)は、洋上で輸送可能な施設を利用することで、ニュースケールのSMRを世界中のより多くの場所で展開することが可能になると意義を強調した上で、「プロディジーの技術と当社の安全でスケーラブル、革新的なSMR設計を組み合わせることで、われわれはカーボンフリーでコスト競争力のあるSMR技術を世界に提供できると確信している」と述べた。

ニュースケールの最近の動向として、5月に米国のスプリング・バレー・アクイジションと、SMRの商業化の加速に向けて企業結合完了を発表した(2022年5月9日記事参照)。7月に米国のナショナル・テクニカル・システムズとSMR機器を認証する試験室の開発での提携を発表した(2022年7月29日記事参照)。9月には米国のハブーシュ・グループとニュースケールのSMR商業化を加速する戦略的提携を締結(2022年9月9日記事参照)したほか、米国のロイター・ストークスとパラゴン・エナジー・ソリューションズがニュースケールのSMRに核検知技術を提供(2022年9月13日記事参照)したと発表した。

(沖本憲司)

(米国、カナダ)

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