小型原発メーカーの米ニュースケール、米NTSと認証試験室の開発で提携

(米国)

ヒューストン発

2022年07月29日

小型モジュール式原子炉(SMR)の技術開発を行う米国のニュースケール・パワー(本社:オレゴン州ポートランド)は728日、原子力や航空宇宙、医療関係などさまざまな機器の試験や検査、認証を行うナショナル・テクニカル・システムズ(NTS、本社:カリフォルニア州アナハイム)とSMR機器を認証する試験室の開発で提携したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ニュースケールはNTSが開発した試験技術を活用し、米国原子力規制委員会や各原子力プラントが準拠を求めるさまざまな環境下での要件を再現できるようになる。

NTSは、今回の提携の一環として、アラバマ州ハンツビルの施設でSMR機器の適格性を評価する試験室の設計、製作、試運転を行う。2027年までにSMRを顧客に納品できるよう、SMRで使用する機器の重要な試験を実施する。NTSはこれまで、アポロ11号や米航空宇宙局(NASA)の有人月面探査プログラム「アルテミス計画」、フランスで建設中の国際熱核融合実験炉「イーター(ITER)」などプロジェクトを支援している。

ニュースケールのサプライチェーン担当バイスプレジデントのスコット・ベイリー氏は「この提携は、当社のSMR技術の世界展開に向けて、新たな節目となる」「NTSが有する原子力関連の試験やエンジニアリングの専門知識と、当社の革新的な設計により、両社は機器の認証作業であらゆる業界の要件を満たせるだろう」と述べている。

NTSの原子力部門戦略開発ディレクターのブラッド・ファーガソン氏は「当社は、ニュースケールとともに高度な原子力関連技術をさらに進化させることで、業界の競争力を強化していきたい」と述べている。

なお、ニュースケールはSMRの商業化加速に向けて、52日に特別買収目的会社のスプリング・バレー・アクイジション(本社:テキサス州ダラス)との企業結合を完了したと発表している(2022年5月9日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国)

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