現政権下で2回目の米国とのハイレベル経済対話を実施、サプライチェーン強化に向けた議論も
(メキシコ、米国)
メキシコ発
2022年09月14日
メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)政権は9月12日、米国のバイデン政権との間で2回目となるハイレベル経済対話(HLED)をメキシコ市で開催した(2022年9月14日記事参照)。HLEDはトランプ前政権下で中断していたが、バイデン政権下の2021年9月に再開されていた(2021年9月13日記事参照)。メキシコ側からは、マルセロ・エブラル外相やタティアナ・クルティエール経済相、ロヘリオ・ラミレス・デ・ラ・オ大蔵公債相らが参加、米国側からは、アントニー・ブリンケン国務長官、ジーナ・レモンド商務長官、ジェイミー・ホワイト米国通商代表部(USTR)次席代表らが参加した。
共同声明によると、今回の会合では前回会合からの2国間協力の進展についての確認がなされるとともに、気候変動対策や国境における環境に優しい輸送手段の整備、エレクトロモビリティーやデジタル経済、労働力の開発や医薬品分野のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化などの新たな協力分野についても協議された。本会合について当地で特に報じられているのは、米国の「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法」の成立(2022年8月10日記事参照)に伴う米国での半導体生産拡大に合わせたメキシコにおける部品生産の拡大や、米国のインフレ削減法に基づくEV税額控除の要件(2022年8月18日記事参照)に基づき、北米域内でのEVおよびバッテリー部品の生産拡大が見込まれることから、メキシコを含めたかたちでのサプライチェーン強化についての議論が行われたことだ。米国が進めるこれらの政策と米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の存在、メキシコの豊富な労働力と地理的優位性は、北米経済圏の一角としてのメキシコの重要性を増す方向に働くとみられている(9月13日付主要各紙)。
AMLO政権のエネルギー政策を巡る問題は扱われず
米国政府がUSMCAの枠組みで紛争解決に向けた協議を要請した(2022年7月21日記事参照)AMLO政権下のエネルギー政策について、今回の会合で両国間の本格的な議論はなかったようだ。会合後の共同記者会見で米国のレモンド商務長官は、会合の主要テーマとしてAMLO政権のエネルギー政策は含まれていなかったとしながらも、「米国企業は透明性と予見性を求めている。これは世界のどこにおいても、どのようなビジネスにも適用されるべきものだ」と付言した。
他方、メキシコのタティアナ・クルティエール経済相は、今回の会合において紛争を対話で解決する必要性を強調したことを明らかにした。記者の質問に対し、「大統領とも話したことだが、エネルギー分野の紛争は対話を通じて解決する必要があり、それに向けて努力している。解決策を見出そうという関心は両国ともにある」と答えている(「レフォルマ」紙9月13日)。
(中畑貴雄)
(メキシコ、米国)
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