ホワイトハウス、米国・メキシコのハイレベル経済対話に基づく4つの柱とこれまでの成果発表

(米国、メキシコ)

米州課

2022年09月14日

米国ホワイトハウスは9月12日、メキシコとのハイレベル経済対話(HLED)に関する現状をまとめたファクトシートを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。HLEDは、カマラ・ハリス米副大統領が2021年6月にメキシコを訪問し、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領と会談した際に、再開が決定したプラットフォーム(2021年9月13日記事参照)で、両国経済の統合を通じた地域の繁栄などが期待されている。同日、メキシコで2回目のHLEDが開催された(2022年9月14日記事参照)。

ホワイトハウスによると、両国政府は4つのテーマを柱に取り組みを進めている。4つのテーマと両国が実施してきた取り組みの例は次のとおり。

(1)協力体制の再構築

米国とメキシコは、地域のビジネス環境の改善や先進技術の展開、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化、合法的な貿易と渡航の促進に取り組んでいる。両国は第1に、半導体と情報通信技術(ICT)のサプライチェーン・エコシステムに焦点を当てたサプライチェーンのワーキンググループを設立した。メキシコ外務省はカリフォルニア大学などと連携し、両国の自動車産業の電気自動車(EV)生産への移行を支援するワーキンググループを立ち上げた。両国はインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)を通じ、国境インフラと現代化プロジェクトに投資することを約束した。そのほか、両国は国境沿いの地域社会に資する緑地と持続可能な経済開発区の開発での官民連携の促進などを行った。

(2)メキシコ南部と中米諸国の持続可能な経済と社会開発の促進

米国とメキシコは、中米北部とメキシコ南部の雇用と機会の創出を通じ、人々の生活改善に取り組んでいる。米国国際開発庁(USAID)は中米移民向けの2国間協力開発枠組み「センブランド・オポルトゥニダデス(Sembrando Oportunidades)」を支援しており、中米北部での農業と若者の労働力開発活動で両国の開発機関の調整力を高めた。また、USAIDはメキシコ南部の4州で、農業とエコツーリズムのバリューチェーンへの投資促進を目的としたプロジェクトを開始した。在メキシコ米国大使館は、メキシコ南部7州の環境長官と協力し、セルバ・マヤ地域の環境保全プロジェクトに資金提供を行う取り組みを創設した。

(3)将来の繁栄のためのツール確保

米国とメキシコは、ICTやネットワーク、サイバーセキュリティーなどの分野で規制の互換性とリスク軽減を支援する取り組みを行っている。米国商務省とメキシコ経済省は9月、サイバーセキュリティーの脅威やインシデントへの対応などに関するフォーラムを開催した。メキシコは「APECグローバル越境プライバシールール宣言」に参加する意向を表明した。10月には、第5世代移動通信システム(5G)とその次世代(5G and Beyond)について2国間のオンラインフォーラムを開催する予定となっている。

(4)人々への投資

米国とメキシコは、起業家や中小企業に投資し、女性、先住民、性的マイノリティーなどの経済機会を高めるイニシアチブの推進に取り組んでいる。両国は、メキシコ南部の中小企業開発センターと連携し、そのネットワークの拡大を支援している。メキシコ経済省は、女性が経営する中小企業を対象に、米国への輸出機会について教育するオンライン上の円卓会議を3年連続で開催した。そのほか、両国は優先分野の技術交流なども実施している。

(片岡一生)

(米国、メキシコ)

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