バイデン米政権、メキシコとのハイレベル経済対話を実施

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2021年09月13日

米国のバイデン政権は9月9日、メキシコ政府とのハイレベル経済対話(HLED)をワシントンで開催した。HLEDはトランプ前政権で中断しており、2016年以来の再開となった。カマラ・ハリス副大統領が2021年6月にメキシコを訪問し、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領と面談した際に、対話の再開を合意していた。

米国側からは、ハリス副大統領のほか、アントニー・ブリンケン国務長官やジーナ・レモンド商務長官、キャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表らが参加した。またメキシコ側からは、マルセロ・エブラル外相やタティアナ・クルティエール経済相らが参加した。

ハリス副大統領は会議冒頭で、「米国18州にとってメキシコが第1位、または第2位の輸出先」「毎日10億ドルの商品が国境を超えている」など、両国の経済関係の重要性を強調し、「メキシコの経済的な安定は、米国の利益にもつながる」と発言した。メキシコのエブラル外相は「(HLEDにより)両国の将来に向けた戦略的な共通ビジョンを定めることが可能」とした。また、サプライチェーンや新型コロナウイルスへの対応、環境エネルギー分野などを挙げ、「米国と共有・対処すべき課題が多くある」と述べた。

バイデン政権の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、会議では、2国間のサプライチェーン作業部会の設置に向けた取り組みが合意された。作業部会を通じて、両国で注力すべき産業分野を特定し、脆弱(ぜいじゃく)性を軽減することで競争力の強化や目指す。また、出席者である経済省のルス・マリア・デラ・モラ次官は、国境間のインフラ強化や越境データに関するプライバシー規則について、両国で議論があったことを明かしている(通商専門誌「インサイドUSトレード」9月10日)。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)のデジタル貿易章内で法的な枠組みを設置・維持することが義務付けられている個人情報保護について、デラ・モラ次官は、メキシコは2022年の設置に向けて準備中と述べている。そのほか、移民問題やサイバーセキュリティに関する対応などでも連携が確認された。今後は、閣僚級会合が年1回、次官級会合が半年に1回の頻度で開催される予定だ。

(藪恭兵)

(米国、メキシコ)

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