トヨタ、米国のEV用バッテリー工場に追加投資、総投資額は38億ドルに

(米国、日本)

アトランタ発

2022年09月01日

トヨタ自動車は8月31日、米国ノースカロライナ州に建設予定のバッテリー工場(2021年12月7日記事参照)に、25億ドルを追加投資すると発表した。需要が拡大するバッテリー式電気自動車(BEV)への供給に向け、車載用電池生産を増強する。この投資により総投資額は38億ドルとなる。同工場は2025年に稼働予定で、自動車業界専門紙のオートモーティブニュースによると、ハイブリッド車用バッテリーラインを4本、BEV用バッテリーラインを2本で生産する(8月31日)。

トヨタは2021年12月、2030年の電気自動車(EV)の世界販売台数で年間350万台を目指すと発表し、電動化に向け8兆円を投じていく考えを明らかにしていた。今回の投資はその一環として発表した(注)。

北米トヨタの製造・エンジニアリング・ユニットのシニアバイスプレジデント、ノーム・バッフーノ氏は「この工場は、完全な電動化に向けたトヨタのリーダーシップで中心的な役割を果たしていく」と語っている。

また、今回の追加投資は、8月16日に成立したインフレ削減法(2022年8月5日2022年8月9日2022年8月18日記事参照)に対応するものとみられている(オートモーティブニュース8月31日)。同法に従ってEVを購入する際の税控除の要件を満たすには、北米での電池生産が求められる。

生産能力の増強に伴い350人の追加雇用が必要となり、ノースカロライナ州の工場での総雇用者数は約2,100人に上る見込み。同州のロイ・クーパー知事(民主党)は「このプロジェクトが高給の仕事をもたらすと確信している」と歓迎し、「トヨタが必要とする労働力や教育・訓練を得られるよう協力する」と述べている。

ホンダも、8月29日に韓国のLGエナジーソリューションとのEVの合弁会社設立を発表するなど(2022年8月31日記事参照)、EV優遇措置に対応する案件が続いている。

(注)今回のトヨタの発表は、日本と米国で最大7,300億円を投資し、車載用電池生産の増強を目指すもの。日本での約4,000億円の投資も同時に発表している(2022年9月1日記事参照)。

(高橋卓也)

(米国、日本)

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