中央銀行、参考レートを1ドル2,100チャットに切り下げ

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2022年08月10日

ミャンマー中央銀行は86日、国営紙(「グローバル・ニューライト・オブ・ミャンマー」8月6日付PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))を通じ、4月より1ドル=1,850チャットに固定していた参考レートを、88日から2,100チャットに変更すると発表した。これに伴い、市中の両替商が提示する実勢レートは、1ドル=2,600チャット前後まで下落している(注)。

また、中央銀行は85日付の通達(Notification No.36/2022)で、輸出企業は輸出で得た外貨収入の65%をチャットに両替しなければならないと定めた。これまでは、全ての外貨収入を両替するよう指示していた(2022年4月6日記事参照)が、本通達により、輸出企業は輸出代金のうち35%は外貨での保有が可能となった。外貨両替義務の一部緩和で、輸出企業に配慮しつつ、参考レートの切り下げにより輸出競争力を高め、外貨獲得を促進する狙いがあるとみられる。なお、中央銀行はこれまでも、ミャンマー投資委員会(MIC)の許可を得た外国直接投資事業や、外国資本の比率が35%を超える企業などを外貨両替義務の免除対象と発表していたが(2022年4月22日記事5月18日記事7月20日記事参照)、これら従来の免除措置と今回の通達との整合性については、現時点(89日時点)では明らかになっていない。

ミャンマーでは、国軍による全権掌握(20212月)以降、深刻な外貨不足に陥っている。輸入をコントロールして外貨流出を抑制するため、外国為替および輸入ライセンスにかかる各種規制措置が矢継ぎ早に打ち出され、ミャンマーにおけるビジネス活動に著しい影響が生じている。今後も引き続き、予断の許さない状況が継続していくとみられる。

(注)ミャンマーは現在、管理変動相場制を採用。市中の銀行や両替商は、中央銀行が公表する参考レートから、上下0.5%以内の為替レートでの取引が義務付けられている。ただ、実態は市中の両替商が提示する実勢レートと中央銀行の参考レートとの乖離が進み、実勢レートは参考レートから約23割程度下落している。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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