台湾グローバルウェーハズ、米テキサス州で半導体ウエハー工場建設計画を発表

(米国、台湾)

米州課

2022年07月11日

台湾の半導体ウエハーメーカーのグローバルウェーハズ(本社:新竹市)は627日、米国テキサス州ダラス北部のシャーマンに300ミリシリコンウエハー工場を建設すると発表した。今回の投資により、米国では20年以上ぶりに新たなシリコンウエハー工場が建設されることになるとしている。

発表によると、同社の米国での工場建設は初となり、1カ月最大120万枚のウエハーを生産し、1,500人の雇用を生み出すとしている。300ミリシリコンウエハーは先端半導体を製造する際の原材料の1つで、多くは現在アジアで生産されている。同社のドリス・シュー最高経営責任者(CEO)は「世界的な(半導体)チップ不足と地政学的な懸念が続く中、当社は最新鋭の300ミリシリコンウエハー工場を建設し、米国の半導体サプライチェーンの回復力に関する課題に対処する」と述べている。また、ジーナ・レモンド米国商務長官はプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「本日のグローバルウェーハズの発表は、国内の半導体サプライチェーンの再構築や米国の経済と国家安全保障の強化、米国製造業の雇用創出にとって極めて重要なもの」と評価した。

ファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が20205月にアリゾナ州での工場建設を発表して以降、半導体関連企業が相次いで工場新設や追加投資を発表しており(2022年6月28日付分析レポート参照)、今回の発表はそれに追随したかたちとなる(注)。一方で、米国半導体大手インテルが6月、オハイオ州での建設を予定している先端半導体の製造工場の起工式を延期することが報じられるなど、半導体サプライチェーンの構築が順調に進んでいるとはいえない。インテルは延期の理由として、半導体製造支援の法的枠組み(CHIPS for America Act)に基づく資金拠出に向けた動きが予想よりも遅いことを挙げ、国内製造業の競争力向上に向けた法案の早期成立を議会に要請している(2022年6月24日記事参照)。レモンド長官は、グローバルウェーハズが米国で工場を建設する理由として、同社が「(CHIPS for America Actに基づく資金拠出に必要な)超党派のイノベーション法案が数週間以内に成立することを信じているからだ」とした上で、「この法案の成立に向けて迅速に動くことで、国内での半導体生産能力強化に向けた米国のコミットメントを示し、サプライチェーン全体を通じて、より多くの企業が安心して国内投資を進めることができるようになる」と述べ、同法案の成立の重要性を改めて強調した。

(注)主要な事例として、インテルによるアリゾナ州での新工場建設(2021年9月30日記事参照)、サムスン電子によるテキサス州での新工場建設(2021年11月24日記事参照)インテルによるオハイオ州での新工場建設(2022年1月24日記事参照)、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズによるアリゾナ州での拡張投資(2022年4月4日記事参照)、オランダのASMLによるコネチカット州での拡張投資(2022年6月7日記事参照)などが挙げられる。

(滝本慎一郎)

(米国、台湾)

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