サムスン電子、米テキサス州オースティン近郊に半導体工場新設

(米国、韓国)

ヒューストン発

2021年11月24日

韓国のサムスン電子は11月23日、米国テキサス州オースティン近郊のテイラー市に最先端の半導体工場を新設すると発表した。建物、土地、工場設備などを含めた総投資額は170億ドルの見込みで、同社にとり米国最大の投資案件となる。

同社は2022年前半に着工し、2024年後半の製造開始を目指すとしている。2,000人以上のハイテク人材の雇用、数千人規模の間接雇用、工場建設で6,500人以上の雇用を見込む。敷地は500万平方メートル(東京ドーム約107個分)以上。新工場ではモバイル、第5世代移動通信システム(5G)、高性能計算(HPC)、人工知能(AI)向けの先端処理技術を備えた半導体製品を製造する。

サムスン電子は5月に米国での新工場建設を発表後、複数の建設候補地を検討してきた。新工場から南西約25キロのオースティン市内には、1996年開設の同社半導体工場が既にあり、近接する両工場でインフラや資源を共有できる点が大きな決め手となったという。また、半導体産業の集積やインフラの充実度、地元政府の支援なども理由として挙げている。他の候補地としてはニューヨーク州やアリゾナ州と報じられていた。

テキサス州政府によると、今回の投資額は同州での外国直接投資額として史上最大となり、同州でのサムスン電子の累計投資額は350億ドル以上に上るという。同州政府はサムスン電子に対し、同州が他州と進出先として競合する場合に活用できるテキサス・エンタープライズ・ファンドから2,700万ドルの助成金を交付している。サムスン電子は地元支援の一環で、テイラー学校区の生徒向けの教育訓練支援施設サムスン・スキルズ・センターを設置するための資金援助を予定している。

テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は今回の発表を受け、「サムスンのような企業がテキサス州に投資を続ける理由は、テキサス州には世界に冠たるビジネス環境と、優れた労働力があるからだ」と述べている。

シリコンヒルズ(注)の異名を持つオースティン周辺には、デル、アップル、グーグル、メタ(旧フェイスブック)らハイテク企業が集積している。最近ではオラクルが2020年12月、テスラが10月(2021年10月8日記事参照)、それぞれカリフォルニア州からオースティンに本社を移転すると表明。西海岸に比べた生活コストの割安感から企業移転先として注目が集まっている。

(注)西海岸のシリコンバレーと、オースティン西部に広がる丘陵(ヒル)を掛け合わせた造語。

(桜内政大)

(米国、韓国)

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