王毅中国外相が米国務長官と会談、対応求める4つのリスト提出

(中国、米国)

北京発

2022年07月11日

中国の王毅国務委員兼外交部長(外相)は79日、インドネシア・バリで米国のアントニー・ブリンケン国務長官と会談を行った(2022年7月11日記事参照)。王毅外相は77日から8日にかけて同地で開催されたG20外相会合へ出席していた。

王外相は「中米関係は、米国の前政権が作り出した困難な状況から抜け出していないどころか、さらに多くの課題に直面している。中米関係の歴史は歪曲(わいきょく)され、いわゆる『ポリティカルコレクトネス』に縛られており、関係の発展方向は誤った道に引き入れられる危険に直面している」とした。その上で「根本的な原因は米国側の中国に対する認識に問題があることであり、それに基づいて策定された対中政策は当然正しい軌道から外れることになる」と責任は米国側にあると主張した。

王外相は、両国首脳間の共通認識を実行に移すべきという中国側の主張(2022年3月17日記事2022年6月15日記事参照)を繰り返すとともに、米国が台湾問題へ関与しないことや、対中追加関税と対中制裁の撤廃などを求めた。対中追加関税については、76日以降に順次、失効時期を迎えることから、米国通商代表部(USTR)はこれらの措置の延長を検討するプロセスを発表している(2022年5月6日記事参照)。

また、王外相は「米国は中米関係に『ガードレール』を設置する必要があるとしているが、中米の3つの共同コミュニケ(注)こそが最も信頼できる『防護』になる」とした。その上で、両国関係の対立を管理するために(1)米国の誤りの是正を求める対中政策と言動のリスト、(2)中国が懸念を有する重要案件リスト、(3)中国が重大な懸念を有する中国に対する法案リスト、(4)中米の8分野の協力リストの4つのリストを提出したと述べた。

中国外交学院戦略・平和研究センターの蘇浩主任は4つのリストについて「米国が改めるべき内容とともに、協力分野も含んでいる。これは中国が誠実に、的を絞って中米関係を処理しようとするものだ」と評価した(「中国新聞網」710日)。

(注)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(河野円洋)

(中国、米国)

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