米USTR、対中追加関税の見直し手続き開始

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年05月06日

米国通商代表部(USTR)は5月3日、1974年通商法301条に基づいて中国原産の輸入品に課している追加関税(301条関税)について、同法に従って見直し手続きを開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。5月5日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで正式に公示した。

301条に基づく措置は、発動から4年間が満了する最後の60日間に、恩恵を受ける国内産業界から継続要望がなければ終了することになっている。USTRは今回、2018年7月6日に発動した301条関税のリスト1(対中輸入額340億ドル相当の818品目)と、同年8月23日に発動したリスト2(160億ドル相当の279品目)に関して、通商法307条に基づいて見直し手続きを2段階で行う。まず、301条関税から恩恵を受ける産業界に対して措置終了の見込みを通知し、301条関税の継続を要望する場合はコメントを提出するよう求める(注)。コメントは301条関税から恩恵を受ける全ての産業界が提出可能だが、USTRは、301条に基づく調査の過程で301条関税の発動を支持するコメントを提出した者には個別に通知を送るとしている。USTR高官によると、個別通知先は約600に上る(通商専門誌「インサイドUSトレード」5月3日)。コメント提出期間は、リスト1は5月7日~7月5日、リスト2は6月24日~8月22日となっている。

コメント募集後、USTRは継続要望を受けたかを官報で公示する。継続要望があった場合には、301条関税を継続しつつ、同措置の具体的な見直しに着手する。USTRは、301条の目的を達成する上での301条関税の有効性、その他の取り得る措置、301条関税の米国経済(米国の消費者を含む)への影響を検討するため、利害関係者からパブリックコメントを募集するとしている。

官報では、包括的な見直しを行うために、2018年9月24日に発動したリスト3(対中輸入額2,000億ドル相当の5,757品目)と2019年9月1日に発動したリスト4A(1,114億ドル相当の3,243品目)についても、リスト1とリスト2に適用される修正として見なすと記している。この点から、通商分野に詳しい米法律事務所は、今回の見直し手続きの対象にはリスト1とリスト2だけでなく、リスト3とリスト4Aも含まれるとの見方を示している。

301条関税は現在、医療関連製品など一部の品目のみが適用除外措置の対象となっている(2022年3月24日記事参照)。前出の米法律事務所は、見直しの結果、301条関税が現状のまま継続される可能性や、追加関税率の変更、対象品目の追加、適用除外手続きの再開などが行われる可能性を指摘している。

(注)コメントの提出はUSTRのポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで受け付けられる。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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