中国外交トップ、米大統領補佐官と会談、ウクライナ情勢について立場表明

(中国、米国、ロシア、ウクライナ)

北京発

2022年03月17日

中国外交部は3月15日、楊潔篪・共産党政治局委員と米国のジェイク・サリバン安全保障担当大統領補佐官が3月14日にイタリアのローマで会談を行ったと発表した。

外交部によると、双方は両国関係と関心を共有する国際・地域問題について率直で踏み込んだ、建設的な交流を実施。共同で両国元首間の共通認識を実行に移し、理解を深め、対立をコントロールし、共通認識を拡大し、協力を強化し、中米関係を健全で安定した発展という正しい軌道に戻すための条件を積み重ねることに同意したとしている。

楊政治局委員は会談でウクライナ情勢について「現在の状況は、中国側にとって目にしたくないものだ。中国は一貫して各国の主権と領土の完全性を尊重し、国連憲章の主旨と原則を順守するよう主張している(2022年2月28日記事参照)。中国は力を尽くして和平を勧め対話を促しており、国際社会は共同でロシアとウクライナの和平交渉が可能な限り早期に実質的な成果を上げ、局面を沈静化させることを支援するべきだ。各国は最大限の自制を保ち、一般市民を保護し、大規模な人道危機の発生を避けるべきだ。中国は既にウクライナに対して緊急人道支援を行っており、引き続き努力をする」という立場を述べた。

また、楊政治局委員はウクライナ情勢の歴史的な経緯を整理し、根本的な原因を探し、それぞれの合理的な関心に応えるべきとした。さらに、中国側は、不正確な情報を拡散し、中国側の立場を歪曲(わいきょく)し誹謗(ひぼう)中傷するあらゆる言行に反対すると強調した。

「環球時報」の胡錫進特別評論員は自身のSNSで、今回の会談では重要な成果はなかったものの、「中米が戦略的不信(注)にある中で、会談終了後、即座に相互に非難し合わなかっただけでも上出来だ。これは本当の中米関係の反映であり、しかも、双方が建設的な接触を維持するために努力していることがうかがえた」とした。

(注)2012年の米国のブルッキングス研究所中国研究所のケネス・リーバーサル所長と北京大学国際関係学院の王緝思院長(肩書はいずれも当時)による報告書「Addressing US-China Strategic Distrust」では、「戦略的相互不信(Strategic Distrust)」を「(相手側の)長期的な意図に対する相互不信」と定義している。

(河野円洋)

(中国、米国、ロシア、ウクライナ)

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