ベネット首相とラピッド外相、国会に相当する「クネセト」の解散発表

(イスラエル)

テルアビブ発

2022年06月22日

6月20日付の「エルサレム・ポスト」紙や「タイムズ・オブ・イスラエル」紙など複数のイスラエル現地紙は、ナフタリ・ベネット首相とヤイル・ラピッド外相がクネセト(国会に相当)を解散すると発表したと報じた。

「エルサレム・ポスト」紙によると、政府は6月27日に解散を正式決定するための決議をクネセトに諮る。同記事は、与野党間で10月25日を選挙日とすることで既に合意ができているとしている。解散・総選挙となれば、2019年4月、同年9月、2020年3月、2021年3月に続いて、3年余りの間に5回目の選挙となる(前回の総選挙については2021年3月26日記事参照)。

現在の与党は、ベネット首相が率いる右派「ヤミナ」とラピッド外相が率いる中道左派「イェシュ・アティド」を含む、右派と左派、アラブ政党まで幅広い政策的志向を持つ8つの政党の連立政権となっている(2021年6月16日記事参照)。

前述の「エルサレム・ポスト」紙によると、連立政権は発足時に「クネセトが解散された場合は、総選挙を経て新たに組閣されるまでの間、ラピッド外相が首相に就任する」ことで合意しているという。その場合、7月に予定されているジョー・バイデン米国大統領のイスラエル訪問(2022年6月16日記事参照)時も、ラピッド外相が首相として対応することになる。

8党連立の与党をめぐっては、政策的志向の違いが先鋭化したことにより、右派「ヤミナ」から4月にイディット・シルマン議員、6月にニル・オルバッハ議員が離党を表明、左派「メレツ」からも5月にガイダ・リナーウィ・ゾアビ議員が離脱した。これにより、発足当初120議席中62議席を有していた与党(2021年6月4日記事参照)は過半数を失い、議会運営が困難な状態になっていた。

総選挙が10月下旬に行われた場合でも、その後に新たな連立交渉や組閣作業が待ち受けている。前回は総選挙(3月23日)から連立合意(6月3日)と組閣完了(6月13日)までに約3カ月を要した。年度後半には2023年度予算関連法案の審議も想定されていたこともあり、政治の先行きが懸念される。

(吉田暢)

(イスラエル)

ビジネス短信 e363f348f262e55a