イスラエル新政権が正式に発足、閣僚名簿を発表

(イスラエル)

テルアビブ発

2021年06月16日

6月13日に、イスラエルの国会に当たるクネセトが総会を開催し、第36代内閣外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの発足を正式に承認した。8党からなる連立政権は、「イェシュ・アティド」のヤイル・ラピッド党首が中心となって交渉を進めてきた(2021年3月26日記事参照2021年6月4日記事参照)。

首相には「ヤミナ」のナフタリ・ベネット党首が就任、4年間の任期の前半2年間を担当するとともに入植地相を兼ねる。ラピッド党首は後半2年間の任期で首相に就任する想定で、前半2年間は副首相と外務相を兼ねる。また、ベニー・ガンツ副首相兼国防相が前政権から引き続き同ポストに就く。アラブ政党として初めて連立政権に加わった「ラアム(アラブリスト連合)」は閣僚を出さなかった。内閣全体で3人の副首相を含む33の閣僚ポストに延べ27人が名を連ね、うち9人が女性閣僚となる(添付資料表参照)。

政党別に主要閣僚ポストをみると、世俗派でユダヤ教超正統派への補助金支出などを批判してきた「イスラエル・ベイテイヌ」のアビグドール・リーベルマン党首が財務相に就任する。右派「ヤミナ」からは、同党幹部でベネット党首の盟友とされるアイェレット・シャクド議員が内務相に就任するほか、宗教問題相、入植地相(ベネット首相が兼務)も務める。左派「メレツ」が保健相、環境保護相を占め、「労働党」はメラブ・ミカエリ党首が運輸相に就くほか、国内の治安問題を担当する公共治安相ポストを獲得した。

右派「ヤミナ」と左派「労働党」は、クネセトの最高裁判所判事指名委員会の委員長のポストをめぐり、任期の前半を「ヤミナ」(シャケッド議員)、後半を「労働党」(ミカエリ党首)が交代で担当することで合意に至ったとも報じられており(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙6月2日)、国政に大きな影響を与える委員会ポストについても、連立交渉が及んでいたことがうかがえる(注1)。

経済産業相には、与党第1党「イェシュ・アティド」の幹部で比例名簿第2位のオルナ・バルビバイ議員が就任する。バルビバイ氏は、国防軍出身で女性として初めて少将(注2)の階級に昇進した人物で、人事局長などを歴任してきた。3月に実施された総選挙期間中には各種報道番組に出演して公約を訴えるなど、党を代表して活動してきた。

(注1)最高裁判所は、ヨルダン川西岸地域における入植問題などに関して憲法判断を下すなど、イスラエル内政に大きな影響を与える。

(注2)イスラエル国防軍における最高階級は参謀総長の「中将(Lieutenant General)」で、少将(Major General)はこれに次ぐ階級。

(吉田暢)

(イスラエル)

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