イスラエル、野党が連立政権の樹立で合意

(イスラエル)

テルアビブ発

2021年06月04日

イスラエルの6月3日付「エルサレム・ポスト」紙は、中道野党「イェシュ・アティド」のヤイル・ラピッド党首が中心となって進めていた連立交渉が成立したと報じた。同党が反ネタニヤフ陣営による連立政権の樹立を目指していたところ、右派政党「ヤミナ」を率いるナフタリ・ベネット党首が連立政権への参加を表明。また、マンスール・アッバス氏が率いる「ラアム(アラブリスト連合)」も、アラブ系の政党として初めて連立政権に参加することになった。今後、6月14日に予定されているクネセト(イスラエルの国会に相当)で承認されれば、新政権が正式に発足する見通し。

クネセトは定数120議席で、政権を樹立するには過半数の61議席以上が必要だ。3月23日に行われた総選挙の結果、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる与党「リクード」が30議席を獲得して第1党となったため、ルーベン・リブリン大統領がネタニヤフ首相に組閣指示を出したが(2021年4月8日記事参照)、期限までに連立交渉をまとめることができなかった。そのため、リブリン大統領は、17議席を獲得して第2党となった「イェシュ・アティド」のラピッド党首に組閣を指示、期限となる6月2日までに連立交渉がまとまるかが注目されていた。

ラピッド党首はこれに先立ち、世俗主義政党の「イスラエル・ベイテイヌ」(7議席)、保守右派政党の「ニュー・ホープ」(6議席)とも連立で合意。また、左派政党の「メレツ」(6議席)、労働党(7議席)の協力も取り付けていた。これにより、反ネタニヤフ陣営が合計62議席を確保することになり、ネタニヤフ首相の退陣の可能性が強まった(添付資料表参照)。

(吉田暢)

(イスラエル)

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