新型コロナはエンデミックに移行とし、5月2日以降の警戒信号を発表せず

(メキシコ)

メキシコ発

2022年05月02日

メキシコ連邦保健省は4月26日、新型コロナウイルス関連のここ数週間の低い病床利用率や、高いワクチン接種率(成人人口の90%)、低い新規死者数、低い新規感染者数といった状況を受け、新型コロナはパンデミックではなく、エンデミック(一定期間で繰り返される流行)に移行したとし、5月2日以降に適用する各州の感染警戒信号(2020年5月15日記事6月2日記事6月15日記事8月31日記事2021年7月26日記事参照)について発表しなかった。感染に関して毎日発表していた統計情報のリリースも、26日以降は発表がない。

同日までのデータで発症日別の新規感染者数を週単位でまとめた数字をみると、全国の新規発症者数はオミクロン株の影響で2021年第51週(12/19~25)に79.2%、第52週に3.2倍、2022年第1週に2.9倍の急増となったが、第2週は49.1%と伸び率鈍化、第3週に15.0%の減少に転じた。それ以降、第15週(4/11~17)まで13週連続で減少している。第15週は前週比33.4%減、1日当たり発症者数は378人(注1)で、2020年第11週(3/8~14)以来の低水準となる。病床利用率も4月25日時点で一般病床が3%、人工呼吸器付き病床が1%となり、過去にない水準まで低下している。

連邦保健省は4月26日以降、PCRと抗原検査データを基にしたローデータを含め、多くのデータを発表しなくなったが、国家科学技術審議会(CONACYT)が運営するデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます病床利用率のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのみ最新データを載せている。CONACYTのデータベースによると、4月中旬の聖週間(セマナサンタ)とイースターの休暇を経て新規発症者数は下げ止まり、発症から14日以内の「アクティブ」患者数は多くの州で再び増加傾向にみえる。ジェトロがまとめた資料(添付資料表参照)によると、人口10万人当たりのアクティブ患者数は4.1人で、ここ2週間は増加している。進出日系企業が多い州では、アグアスカリエンテス州や首都メキシコ市などでアクティブ患者が明らかに増えているため、警戒が必要だ。

5月から12歳以上の子供へのワクチン接種開始

メキシコではこれまで14歳以上がワクチン接種の対象(注2)となっていたが、4月28日から12歳以上の子供への接種事前登録が開始され、5月から接種が始まる。4月にはブースター接種を中心に大規模接種が全国展開され、4月だけで630万回接種された(4月26日付大統領記者会見録外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。政府がここに来てワクチン接種を加速させる背景には、製薬会社から受領したワクチンの有効期限が迫っていることがある(4月29日付現地紙「ミレニオ」)。

(注1)発症日ベースの統計は後から感染が確定して追加されることが多いため、最終的には1日当たり500人前後になると推定される。

(注2)感染症に弱い病気を患っている場合、例外的に12歳以上でも接種対象となった。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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